(I-P3-20)外来にてフォローしたwallenberg症候群一例の治療経過
【はじめに】wallenberg症候群により重篤な嚥下障害を発症しながら, 他部門からなる在宅嚥下リハフォローにより一定の改善を認められた症例を経験したのでここに報告する. 【症例】70歳. 男性. 神経学的所見:嚥下障害. 右上下肢に軽度失調(ADL自立). 両側顔面・左上下肢の温痛覚消失. カーテン兆候. ホルネル兆候. RSST1回/30秒. MWST/FT:3. 咽頭反射・口蓋反射はほぼ消失. VE/VFにて咽頭知覚低下, 嚥下反射の弱化, 喉頭挙上不全, 食道入口部開大不全, 誤嚥みられ摂食嚥下機能は藤島のGr.2(基礎的訓練のみ適応), 臨床重症度評価DSS1(唾液誤嚥)であった....
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Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 10; no. 3; p. 367 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
31.12.2006
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ISSN | 1343-8441 |
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Summary: | 【はじめに】wallenberg症候群により重篤な嚥下障害を発症しながら, 他部門からなる在宅嚥下リハフォローにより一定の改善を認められた症例を経験したのでここに報告する. 【症例】70歳. 男性. 神経学的所見:嚥下障害. 右上下肢に軽度失調(ADL自立). 両側顔面・左上下肢の温痛覚消失. カーテン兆候. ホルネル兆候. RSST1回/30秒. MWST/FT:3. 咽頭反射・口蓋反射はほぼ消失. VE/VFにて咽頭知覚低下, 嚥下反射の弱化, 喉頭挙上不全, 食道入口部開大不全, 誤嚥みられ摂食嚥下機能は藤島のGr.2(基礎的訓練のみ適応), 臨床重症度評価DSS1(唾液誤嚥)であった. 【経過】入院時訓練(病後3月まで)は栄養の確保と在宅で可能な自主訓練の獲得を目指した指導・訓練を行った. 退院後も定期的に耳鼻科・リハ科フォローを行いながらshaker's Ex, バルーン拡張訓練などを継続した. また訪問看護による訓練・全身状態のチェックも行った. 発症6ヵ月後にはRSST4回/30秒に改善. 健側に極少量の食塊通過認められるようになったが誤嚥は残存. 病後6ヶ月時点で嚥下機能改善術の施行. 術後, 食道入口部通過は改善し唾液の処理も向上みられた. 第2期訓練(手術後1ヶ月)では誤嚥防止のための代償法の確立を目標にし, 息堪え嚥下, 姿勢調節など実施した. その結果, 誤嚥なく食道入口部通過が認められるようになり藤島Gr.4(楽しみとしての摂食は可能)に至った. 【考察】本症例の嚥下機能は重篤であったが一年間の経過を得て一定の改善が認められた. 各部門間での評価内容・治療方針について綿密に情報交換や連携を図り, 安全に訓練を進めていくことができたものと考えた. 自立度の高い本症例において, 退院後の自主訓練のフォローが重要であった. 本症例のような球麻痺による重度嚥下障害例では多方面からなる専門チームによって長期に支援できる体制が必要であると考えられた. |
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ISSN: | 1343-8441 |