病院改善活動の取り組み~TQM活動を通じて

<はじめに>当院は現在, 平成19年度の移転に向け, 準備を進めている最中である. こうした中, ソフト面の強化, 特に千名を超える職員(正職員以外含む)の改善意識の醸成を目指し, 平成15年度には病院機能評価を受審, 平成16年度からはグループ活動の実施と, 毎年, 病院をあげての改善活動に取り組んでいる. 以下, その取り組みと考察について述べる. <経過>当院ではTQM活動を, 「病院全体で, 質管理の考え方や手法を用い, 継続的に改善・質向上を行なうこと」と捉え, グループ活動(小集団活動)をその実践方法の1つと考え導入した. グループ活動により, 職員が現状に...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 54; no. 3; p. 278
Main Authors 原明子, 神谷順一, 宇野修二, 伊藤みち子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農村医学会 01.09.2005
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ISSN0468-2513

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Abstract <はじめに>当院は現在, 平成19年度の移転に向け, 準備を進めている最中である. こうした中, ソフト面の強化, 特に千名を超える職員(正職員以外含む)の改善意識の醸成を目指し, 平成15年度には病院機能評価を受審, 平成16年度からはグループ活動の実施と, 毎年, 病院をあげての改善活動に取り組んでいる. 以下, その取り組みと考察について述べる. <経過>当院ではTQM活動を, 「病院全体で, 質管理の考え方や手法を用い, 継続的に改善・質向上を行なうこと」と捉え, グループ活動(小集団活動)をその実践方法の1つと考え導入した. グループ活動により, 職員が現状に対する問題意識を持ち, 個人と組織の問題解決能力を向上し, 継続的な体質改善を目指している. 活動は, 部署ごとに6・7名のメンバーで, 身近な問題について, 問題解決手法に沿って, 客観的データに基づき改善を行なう. 活動はエントリー制で, 年度ごとに参加グループを募集し, 1チーム1年に1テーマに取り組むという方法で行なった. グループ活動の推進には, コンサルタントを導入するとともに, 各職種19名の職員で構成された業務改善委員会(委員長:副院長)が中心となり進めた. 平成16年度はTQM活動・グループ活動の導入年度であったため, 基本学習が必要であるとし, 職員(パート・派遣等含む)にTQM活動・グループ活動の講演会を開催した. これには92.3%の参加があり, 平成17年度以降は新入職員研修にて講義を行なうのみにした. 基礎知識を身に付けた後, 各部署よりグループ活動のリーダー候補者を募り, グループ活動の要である問題解決手法の実習を実施し101名が受講. 養成されたリーダーを中心に活動を開始し, 35グループがエントリーを行なった. 活動期間中2回, 中間チェックとして活動の進捗状況に関するヒアリングを実施. 年度末には活動を終了し, 発表会を開催した. なお, 発表会は休日1日がかりの開催であったが, 357名の参加があり, 笑い声や拍手の耐えない, 和やかなムードで行なわれた. <結果と考察>発表会参加者に対して行なったアンケート(306名回収率85.7%)の結果, グループ活動で業務改善はどれくらいできたかという質問で「改善できた」という回答が84.2%, 部署内や他部署とのチームワークは向上したかという質問で「向上した」という回答が63.8%, 今後もグループ活動は必要かという質問で「必要」という同答が75.3%であった. 自由記載では, 職場の人間関係が良くなった, 特に医師・看護師の関係が良くなったとの意見が多数であった. また, 活動に参画することで現状を見つめ直すことができ改善意識が高まったなどの意見も多く, 問題に対する意識の変化がみられた. その反面, メンバーのみ活動していた, 時間外の活動が多く負担が増えた, 医師の協力が得られなかった, という意見も多く, こうした問題については平成17年度以降の活動で改善を図るよう検討を行なっている. 以上のアンケート結果から, 活動により職員の問題意識の向上, 問題解決の素地となるチームワークの向上が図られたといえる. 今後は継続的な体質改善につながるよう, グループ活動をより取り組みやすい方法に修正しながら継続していく. その他にも, ISOの取得やその他の手法の導入も視野に入れ, 病院をあげての改善活動を継続していく.
AbstractList <はじめに>当院は現在, 平成19年度の移転に向け, 準備を進めている最中である. こうした中, ソフト面の強化, 特に千名を超える職員(正職員以外含む)の改善意識の醸成を目指し, 平成15年度には病院機能評価を受審, 平成16年度からはグループ活動の実施と, 毎年, 病院をあげての改善活動に取り組んでいる. 以下, その取り組みと考察について述べる. <経過>当院ではTQM活動を, 「病院全体で, 質管理の考え方や手法を用い, 継続的に改善・質向上を行なうこと」と捉え, グループ活動(小集団活動)をその実践方法の1つと考え導入した. グループ活動により, 職員が現状に対する問題意識を持ち, 個人と組織の問題解決能力を向上し, 継続的な体質改善を目指している. 活動は, 部署ごとに6・7名のメンバーで, 身近な問題について, 問題解決手法に沿って, 客観的データに基づき改善を行なう. 活動はエントリー制で, 年度ごとに参加グループを募集し, 1チーム1年に1テーマに取り組むという方法で行なった. グループ活動の推進には, コンサルタントを導入するとともに, 各職種19名の職員で構成された業務改善委員会(委員長:副院長)が中心となり進めた. 平成16年度はTQM活動・グループ活動の導入年度であったため, 基本学習が必要であるとし, 職員(パート・派遣等含む)にTQM活動・グループ活動の講演会を開催した. これには92.3%の参加があり, 平成17年度以降は新入職員研修にて講義を行なうのみにした. 基礎知識を身に付けた後, 各部署よりグループ活動のリーダー候補者を募り, グループ活動の要である問題解決手法の実習を実施し101名が受講. 養成されたリーダーを中心に活動を開始し, 35グループがエントリーを行なった. 活動期間中2回, 中間チェックとして活動の進捗状況に関するヒアリングを実施. 年度末には活動を終了し, 発表会を開催した. なお, 発表会は休日1日がかりの開催であったが, 357名の参加があり, 笑い声や拍手の耐えない, 和やかなムードで行なわれた. <結果と考察>発表会参加者に対して行なったアンケート(306名回収率85.7%)の結果, グループ活動で業務改善はどれくらいできたかという質問で「改善できた」という回答が84.2%, 部署内や他部署とのチームワークは向上したかという質問で「向上した」という回答が63.8%, 今後もグループ活動は必要かという質問で「必要」という同答が75.3%であった. 自由記載では, 職場の人間関係が良くなった, 特に医師・看護師の関係が良くなったとの意見が多数であった. また, 活動に参画することで現状を見つめ直すことができ改善意識が高まったなどの意見も多く, 問題に対する意識の変化がみられた. その反面, メンバーのみ活動していた, 時間外の活動が多く負担が増えた, 医師の協力が得られなかった, という意見も多く, こうした問題については平成17年度以降の活動で改善を図るよう検討を行なっている. 以上のアンケート結果から, 活動により職員の問題意識の向上, 問題解決の素地となるチームワークの向上が図られたといえる. 今後は継続的な体質改善につながるよう, グループ活動をより取り組みやすい方法に修正しながら継続していく. その他にも, ISOの取得やその他の手法の導入も視野に入れ, 病院をあげての改善活動を継続していく.
Author 伊藤みち子
宇野修二
原明子
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