陰圧吸引補助脱血使用時のトラブル対応に対する吸引アウトレット付きポータブル吸引源を使用した緊急対応に関する実験的検討

「要旨」陰圧吸引補助脱血(Vacuum assisted venous drainage:VAVD)使用時に吸引配管のトラブルが発生した場合, 体外循環の維持が困難になる可能性がある. 今回, VAVD使用時の吸引配管のトラブルに対して, アルバック機工社製吸引アウトレット付きポータブル吸引源の救引Genを使用できるか検討を行った. 救引Genを使用した場合, 設定陰圧により異なるが, 脱血量と吸引量の合計と灌流量の差が10.0~12.0L/min程度までは設定陰圧および貯血槽内圧が維持され, 設定した灌流条件やシミュレーターを使用した実験では, 成人症例で想定される灌流量の人工心肺に対して,...

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Published in体外循環技術 Vol. 48; no. 1; pp. 1 - 11
Main Authors 大島弘之, 東條圭一, 桑原紗衣, 田中優美, 伊東祥太, 宮地鑑
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.03.2021
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ISSN0912-2664

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Summary:「要旨」陰圧吸引補助脱血(Vacuum assisted venous drainage:VAVD)使用時に吸引配管のトラブルが発生した場合, 体外循環の維持が困難になる可能性がある. 今回, VAVD使用時の吸引配管のトラブルに対して, アルバック機工社製吸引アウトレット付きポータブル吸引源の救引Genを使用できるか検討を行った. 救引Genを使用した場合, 設定陰圧により異なるが, 脱血量と吸引量の合計と灌流量の差が10.0~12.0L/min程度までは設定陰圧および貯血槽内圧が維持され, 設定した灌流条件やシミュレーターを使用した実験では, 成人症例で想定される灌流量の人工心肺に対して, VAVD時の吸引配管のトラブルに使用できる可能性が示唆された. しかし, 救引Genの排気流量は吸引配管より少なく, 今回の検討では大気開放状態から設定陰圧に達するまでに最大4.5秒を有し, また脱血量と吸引量の合計と灌流量の差が10.0~12.0L/min以上と想定以上に多い場合には設定陰圧が維持できない可能性あり, 注意点も明らかにされた. したがって, 安全性を考慮すると落差脱血に対する補助手段とするなど, 落差を確保し人工心肺を行う方が安全であることが再確認された.
ISSN:0912-2664