急性期病態における生体反応 -変化を続ける捉え方

「はじめに」 1992年, 米国胸部疾患学会と米国集中治療医学会から, sepsisは全身性炎症反応を伴う感染症であるとの明確な定義が提唱された(図1)1). そして, この背景となっている敗血症の病態概念は, 生体に侵入した病原微生物そのものによってではなく, 病原微生物に対する生体の過剰炎症反応によって形成されるというものである. “sepsis”には, 感染に対する生体反応の意味を含むが, 感染がなくても同様な反応が生じ, 原因の如何によらず, この生体の炎症反応をsystemic inflammatory response syndrome(SIRS)ということが明記されている. しか...

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Published in循環制御 Vol. 33; no. 2; pp. 70 - 75
Main Author 久志本成樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本循環制御医学会 31.08.2012
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ISSN0389-1844

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Summary:「はじめに」 1992年, 米国胸部疾患学会と米国集中治療医学会から, sepsisは全身性炎症反応を伴う感染症であるとの明確な定義が提唱された(図1)1). そして, この背景となっている敗血症の病態概念は, 生体に侵入した病原微生物そのものによってではなく, 病原微生物に対する生体の過剰炎症反応によって形成されるというものである. “sepsis”には, 感染に対する生体反応の意味を含むが, 感染がなくても同様な反応が生じ, 原因の如何によらず, この生体の炎症反応をsystemic inflammatory response syndrome(SIRS)ということが明記されている. しかし, “SIRS”の原因として, 感染症のみではなく, 外傷などの組織損傷, ショック, 膵炎といった非感染性病態が挙げられ, SIRSを生じる原疾患では, 同様な病態生理が存在するとされながらも, 非感染性病態における炎症反応のメカニズムは明確にされてはいなかった.
ISSN:0389-1844