Brugada型心電図を呈する冠攣縮性狭心症の1例

Acetylcholine(Ach)負荷による冠攣縮誘発時の経時的な心電図変化を観察し得たBrugada型心電図を呈する冠攣縮性狭心症例を報告する. 症例は胸痛発作を主訴とする65歳の男性で, 失神の既往および突然死の家族歴はなかった. 安静時の心電図で, 右脚ブロックとV1誘導にcoved型の, V2とV3誘導にsaddle back型のST上昇を認めた. このSTはpilsicainide 50mgの静注によりさらに上昇し, V2誘導でcoved型に変化した. 右冠動脈内へのAch投与後, V1からV4誘導に最大0. 8mVのST上昇がみられた. その後, 右冠動脈中間部に完全閉塞をきたす...

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Published in心臓 Vol. 34; no. 7; pp. 565 - 570
Main Authors 阿部芳久, 門脇謙, 寺田豊, 熊谷肇, 佐藤匡也, 熊谷正之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 丸善 15.07.2002
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ISSN0586-4488

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Summary:Acetylcholine(Ach)負荷による冠攣縮誘発時の経時的な心電図変化を観察し得たBrugada型心電図を呈する冠攣縮性狭心症例を報告する. 症例は胸痛発作を主訴とする65歳の男性で, 失神の既往および突然死の家族歴はなかった. 安静時の心電図で, 右脚ブロックとV1誘導にcoved型の, V2とV3誘導にsaddle back型のST上昇を認めた. このSTはpilsicainide 50mgの静注によりさらに上昇し, V2誘導でcoved型に変化した. 右冠動脈内へのAch投与後, V1からV4誘導に最大0. 8mVのST上昇がみられた. その後, 右冠動脈中間部に完全閉塞をきたす冠攣縮が発生し, II, III, aVF誘導のSTが上昇した. 一方, 下壁誘導のST上昇に一致してV1からW誘導のSTは基線に近づく方向に変化した. 冠攣縮の寛解後は下壁誘導のSTが基線に復するのと一致して, V1からV4誘導のSTは再び上昇した. Ach投与の240秒後には, このST上昇はほぼ投与前のレベルに復した. なお, 左冠動脈へのAch投与では心電図変化や冠攣縮はみられなかった.
ISSN:0586-4488