(I-P2-4)効果的な看護介入をめざして~頭頸部外科領域における摂食嚥下栄養管理の一事例
【はじめに】2005年度本学会において頭頸部進行癌患者の嚥下障害について発表した. 前回の症例では, 治療に伴う栄養低下の予測が遅れた為, 退院時には体重が11kg減少した. 今回, 治療による栄養低下が予想される前に栄養指導, 摂食指導を行い効果的な栄養管理ができたので報告する. 【対象】T氏42歳男性. 舌癌T4aN2bM0. 既往歴:無. 職業:SE. 家族構成:父親と2人. 経過:2005年9月舌亜全摘(4/5), 両頸部郭清, 筋皮弁遊離組織移植術施行. 同年8月, 10月化学療法, 同年10月-12月放射線療法(60Gy)施行. 発症前BMI18, 12月退院時BMI16. 【介入...
Saved in:
Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 10; no. 3; p. 352 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
31.12.2006
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 1343-8441 |
Cover
Summary: | 【はじめに】2005年度本学会において頭頸部進行癌患者の嚥下障害について発表した. 前回の症例では, 治療に伴う栄養低下の予測が遅れた為, 退院時には体重が11kg減少した. 今回, 治療による栄養低下が予想される前に栄養指導, 摂食指導を行い効果的な栄養管理ができたので報告する. 【対象】T氏42歳男性. 舌癌T4aN2bM0. 既往歴:無. 職業:SE. 家族構成:父親と2人. 経過:2005年9月舌亜全摘(4/5), 両頸部郭清, 筋皮弁遊離組織移植術施行. 同年8月, 10月化学療法, 同年10月-12月放射線療法(60Gy)施行. 発症前BMI18, 12月退院時BMI16. 【介入時期と内容】1. 術前化学療法前:疼痛管理と口腔内ケアを行った. 2. 手術までの一時退院時:高カロリー栄養食の摂取方法を指導した. 3. 術直後:NSTによる栄養評価を受けた. 4. 経口摂取開始時:嚥下透視所見を供覧, 摂食嚥下指導をした. 同時に栄養評価表を作成し本人が記録した. 5. 術後化学療法, 放射線療法による食欲低下中:補食による栄養摂取の工夫を図った. 6. 退院前:T氏と父が栄養相談を受けた. 【結果】1. 疼痛管理ができ, 著しい口臭, 歯垢, 舌苔を除去できた. 2. 摂取エネルギーが増加した. 3. 経腸栄養剤による下痢に対する腸内細菌層の強化を指導された. 4. 自らの嚥下障害を理解し, 嚥下指導を受けたことで順調に軟食摂取へ移行できた. 評価表に自発的に記入することで栄養への関心が高まった. 5. 摂取できなかった病棟食の不足分を補食で補い必要エネルギーを維持できた. 6. 父も栄養について理解を深め, 退院後の食事に不安は訴えなかった. 【まとめ】治療による栄養低下が予想される前に栄養指導, 摂食指導を行った事で摂取エネルギーは初回入院時の4倍強に増えた. 患者は栄養を考慮した経口摂取に努める事ができたと考える. 今後, 頭頸部外科手術患者のケアの標準化につなげる予定である. |
---|---|
ISSN: | 1343-8441 |