皮膚筋炎患者に発生した食道粘膜剥離症(submucosal dissection of the esophagus)の1例
「はじめに」食道粘膜剥離症は比較的稀な疾患で, 粘膜層が内輪筋層から剥離された病態をいう. 原因は機械的なものと, 原因不明のいわゆる特発性のものに分けられる. 今回我々は, 皮膚筋炎患者に合併した特発性食道粘膜剥離症を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. 「症例」患者:55歳, 男性. 主訴:心窩部痛. 既往歴:皮膚筋炎(2000年10月から). 家族歴:膠原病の家族歴なし. 生活歴:喫煙歴7~8本/日, 飲酒歴 日本酒2合/日. 現病歴:皮膚筋炎, 間質性肺炎のため2000年12月に当院第2内科に入院し, ステロイド療法, エンドキサンパルス療法を行っていた. 2001年4月...
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Published in | Progress of Digestive Endoscopy Vol. 62; no. 2; pp. 74 - 76 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本消化器内視鏡学会関東支部会
31.05.2003
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ISSN | 1348-9844 |
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Summary: | 「はじめに」食道粘膜剥離症は比較的稀な疾患で, 粘膜層が内輪筋層から剥離された病態をいう. 原因は機械的なものと, 原因不明のいわゆる特発性のものに分けられる. 今回我々は, 皮膚筋炎患者に合併した特発性食道粘膜剥離症を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. 「症例」患者:55歳, 男性. 主訴:心窩部痛. 既往歴:皮膚筋炎(2000年10月から). 家族歴:膠原病の家族歴なし. 生活歴:喫煙歴7~8本/日, 飲酒歴 日本酒2合/日. 現病歴:皮膚筋炎, 間質性肺炎のため2000年12月に当院第2内科に入院し, ステロイド療法, エンドキサンパルス療法を行っていた. 2001年4月下旬より食後に心窩部痛が出現したため, 5月1日に上部消化管内視鏡検査を施行した. 現症:身長160cm, 体重58kg, 意識清明, 血圧120/80mmHg, 脈拍88/分, 体温36.2℃. 臨床経過:5月1日の内視鏡検査で, 切歯列より30cmから, 左側10cmにわたって偽腔を形成する食道粘膜剥離を認めた. 偽腔には食物残渣があり, 筋層の露出した壁からは出血が認められた(Color 1, 2). 直ちに絶食とし, 中心静脈栄養を行った. 5月9日の胸部CTでは, 下部食道が拡張し, 液体の貯留が見られた(Fig. 1-a). 5月12日の食道造影では下部食道左側に嚢状の拡張があり, 造影剤の貯留が見られる(Fig. 1-b). 5月15日の内視鏡検査では, 剥離部分の出血は見られなかったが, 隔壁による偽腔が残り, 食物貯留は改善されていなかった. |
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ISSN: | 1348-9844 |