脳卒中後リハビリテーション治療中の転倒事故について

【目的】入院中に発生した転倒事故について, 院内事故報告書をもとにretrospective に検討した. 【対象】脳卒中初発後の回復期治療中に転倒した患者43例. 【結果および考察】平均年齢68.7歳(42~87歳). 男性25例, 女性18例. 脳出血22例, 脳梗塞19例, クモ膜下出血2例. 麻痺の部位は, 左片麻痺21例, 右片麻痺17例, 小脳失調3例, 体幹機能障害2例. 全患者43例中, 高次脳機能障害を17例に認め, その内容は, 失語症11例, 半側無視4例, 病態失認2例であった. 右片麻痺の17例中11例(64.7%)に重度の失語が認められた. 転倒時のADLは, 平均...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 38; no. 5; pp. 410 - 411
Main Authors 米須功, 江頭有朋, 平敏裕, 前原愛和, 山崎富浩, 湧上聖, 今村義典, 末永英文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.05.2001
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ISSN0034-351X

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Summary:【目的】入院中に発生した転倒事故について, 院内事故報告書をもとにretrospective に検討した. 【対象】脳卒中初発後の回復期治療中に転倒した患者43例. 【結果および考察】平均年齢68.7歳(42~87歳). 男性25例, 女性18例. 脳出血22例, 脳梗塞19例, クモ膜下出血2例. 麻痺の部位は, 左片麻痺21例, 右片麻痺17例, 小脳失調3例, 体幹機能障害2例. 全患者43例中, 高次脳機能障害を17例に認め, その内容は, 失語症11例, 半側無視4例, 病態失認2例であった. 右片麻痺の17例中11例(64.7%)に重度の失語が認められた. 転倒時のADLは, 平均63.6点で, これは退院時には89.5点まで改善した. 転倒発生状況は, 全体の53.5%が移乗動作時で, 27.9%がリハビリテーション中であった. 時間帯別では, 日中の訓練, 移乗動作中, 夜間のトイレ目的の転倒が多く, また入院2ヵ月以内の転倒が多かった. 転倒の影響は2例の大腿骨頸部骨折以外は経過観察レベルであった. 今回の調査で, 失語や構音障害によるコミュニケーション障害が全体の32.6%を占め, 重要な発生因子として示唆された.
ISSN:0034-351X