(II-6-2)咳分析による,嚥下機能評価-嚥下内視鏡所見との対応を中心として

【目的】嚥下機能の評価・誤嚥性肺炎のリスク評価に, 咳の評価が有用であることは先行研究によって示されている. 今回は, 嚥下機能検査の示適基準検査のひとつである嚥下内視鏡検査と咳分析を同時に行い, 咳分析検査の妥当性を検証した. 【対象と方法】対象は, 健常成人3名, 臨床上嚥下障害が存在する脳卒中患者3名である. 喉頭内視鏡に, 微差圧変換器を取り付けた測定機器を作成した. この装置により, 咽喉頭の動きを観察しつつ, 微差圧変換器で呼吸・嚥下・咳といった動作を機能的に分析することが可能となり, 嚥下・咳と呼吸位相の関係, 及び, 咳の強さ(圧)と咽喉頭所見(画像)との対応を評価した. 【結...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 10; no. 3; p. 416
Main Authors 村岡香織, 村岡慶裕, 木村彰男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 31.12.2006
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ISSN1343-8441

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Summary:【目的】嚥下機能の評価・誤嚥性肺炎のリスク評価に, 咳の評価が有用であることは先行研究によって示されている. 今回は, 嚥下機能検査の示適基準検査のひとつである嚥下内視鏡検査と咳分析を同時に行い, 咳分析検査の妥当性を検証した. 【対象と方法】対象は, 健常成人3名, 臨床上嚥下障害が存在する脳卒中患者3名である. 喉頭内視鏡に, 微差圧変換器を取り付けた測定機器を作成した. この装置により, 咽喉頭の動きを観察しつつ, 微差圧変換器で呼吸・嚥下・咳といった動作を機能的に分析することが可能となり, 嚥下・咳と呼吸位相の関係, 及び, 咳の強さ(圧)と咽喉頭所見(画像)との対応を評価した. 【結果】健常者で, 随意的な咳は吸気に引き続いておこるが, 反射的な咳は呼吸パターンにかかわらず起こることがあった. 咳は声門閉鎖だけでなく咽頭筋の収縮によっても圧を高めていることが画像所見との対応から推測されたが, その大きさは, 同一被験者であっても試行毎にばらつきが大きかった. 嚥下障害患者では, 咳の強さが健常者に比べて有意に弱く, 呼吸パターンとの対応が明らかでなかった. 嚥下障害患者での咳の圧は, 嚥下内視鏡検査での唾液の貯留度スコア・検査食嚥下後の残留の程度と関係が示唆された. 【考察】咳分析を嚥下内視鏡検査と対応させて実施することにより, 咳の圧は咽頭筋の収縮力や声門閉鎖機能といった嚥下咽頭期の機能を反映し, 嚥下内視鏡検査に比べこれらを定量的に分析することができる点で有利である可能性が示唆された. しかし, 各被験者・試行ごとの値のばらつきも大きく, この装置における咳の圧の基準値の設定には, さらに多くの健常老人などのデータが必要と考えられる. 今後, さらにデータを蓄積していく予定である.
ISSN:1343-8441