アマルガム修復物の二次う蝕病巣に対する細菌学的検討

「緒言」 二次う蝕(recurrent caries)は歯の硬組織実質欠損の修復後に修復物に接するエナメル質窩縁より発生し, 修復物と窩壁との間隙に沿って順次拡大し深部に達すると一般的に考えられているが, 日常の臨床において観察される多くの二次う蝕症例にはかような発生, 進行の経過とは異なり, 修復物内面に接する窩壁象牙質より直接発生し, 表層のエナメル質を残したまま穿下性に深部あるいは側方へ拡大したと思われる症例もしばしば経験される. かような症例については, その発生が修復時の窩洞形成に際して不用意にとりのこされた感染象牙質に起因する(このようなう蝕を二次う蝕の範疇に入れないと言う考え方も...

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Published in神奈川歯学 Vol. 14; no. 3; pp. 235 - 244
Main Authors 神田善行, 込宮恒, 松本好史, 宮国敏, 大溝勲, 宮下宏子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.12.1979
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ISSN0454-8302

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Summary:「緒言」 二次う蝕(recurrent caries)は歯の硬組織実質欠損の修復後に修復物に接するエナメル質窩縁より発生し, 修復物と窩壁との間隙に沿って順次拡大し深部に達すると一般的に考えられているが, 日常の臨床において観察される多くの二次う蝕症例にはかような発生, 進行の経過とは異なり, 修復物内面に接する窩壁象牙質より直接発生し, 表層のエナメル質を残したまま穿下性に深部あるいは側方へ拡大したと思われる症例もしばしば経験される. かような症例については, その発生が修復時の窩洞形成に際して不用意にとりのこされた感染象牙質に起因する(このようなう蝕を二次う蝕の範疇に入れないと言う考え方もある)こともあるが, 修復物の辺縁封鎖の破壊に伴う微小漏洩によるう蝕発生の可能性も重要な一因であろうと考えられる. HalsらやKiddはAcid gelを用いたin vitroの実験において修復物のエナメル質窩縁に生じたcariesようの脱灰部(outer lesion)と同様に, gel中に含まれた酸のmicroleakageによって象牙質窩壁にも脱灰層(cavity wall lesion)が生ずることを観察し, またMortensenらは歯質と修復物との間隙へ細菌が侵入し, 窩底部に存在したことを報告している.
ISSN:0454-8302