節外性リンパ腫の臨床病理学的な特徴 - 慢性炎症を基盤に発症するリンパ腫を中心にして

「はじめに」本邦の非ホジキンリンパ腫 (NHL) の約40%は節外性リンパ腫である. 節外性リンパ腫は皮膚を除くと, そのほとんどがB細胞性リンパ腫であることが知られているが, 発症部位別に見ると臨床病理学的特徴に相違が見られる. 例えば, 性比は一般に男性が優位であるが, 甲状腺リンパ腫や唾液腺リンパ腫では女性が優位であり, 組織型でも低悪性度リンパ腫が他に比して多い. これに対し性器原発では60%以上が高悪性度リンパ腫である. これらの所見は部位による発症要因の違いの可能性を示唆している. 筆者らは, 節外性リンパ腫の発症基盤として慢性炎症が重要であることを報告してきた. 前述の甲状腺リン...

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Published in日本リンパ網内系学会会誌 Vol. 38; no. 3; pp. 151 - 162
Main Authors 大澤政彦, 中塚伸一, 青笹克之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リンパ網内系学会 30.07.1998
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ISSN1342-9248

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Summary:「はじめに」本邦の非ホジキンリンパ腫 (NHL) の約40%は節外性リンパ腫である. 節外性リンパ腫は皮膚を除くと, そのほとんどがB細胞性リンパ腫であることが知られているが, 発症部位別に見ると臨床病理学的特徴に相違が見られる. 例えば, 性比は一般に男性が優位であるが, 甲状腺リンパ腫や唾液腺リンパ腫では女性が優位であり, 組織型でも低悪性度リンパ腫が他に比して多い. これに対し性器原発では60%以上が高悪性度リンパ腫である. これらの所見は部位による発症要因の違いの可能性を示唆している. 筆者らは, 節外性リンパ腫の発症基盤として慢性炎症が重要であることを報告してきた. 前述の甲状腺リンパ腫や唾液腺リンパ腫は, 自己免疫疾患である橋本病やシェーグレン症候群と関連して発症する. 一方, 筆者らが疾患概念を確立した膿胸関連リンパ腫 (Pyothorax-associated lymphoma ; PAL) は, 明らかな免疫異常を認めない慢性結核性膿胸を基盤に発症する.
ISSN:1342-9248