末梢血幹細胞の動員・採取ガイドライン
「同種末梢血幹細胞移植のための健常人ドナーからの末梢血幹細胞の動員, 採取に関するガイドライン(以下ガイドライン)」は, 同種末梢血幹細胞移植の保険適用が承認された平成12年4月に日本造血細胞移植学会から公表された. 同時に, 同学会はドナーの短期, 長期の安全性をモニターするためにドナー登録制と5年間の追調査を開始した. 一方, 平成12年3月にG-CSF投与を受けた血縁ドナーがアフェレーション中に血管迷走神経反射によると思われる停止を来した. そこで, 同学会はドナーの安定性を確保するため, 日本輸血学会に協力を依頼し, 両学会合同ガイドライン委員会を設置し, 平成12年7月21日ガイドラ...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 49; no. 2; p. 168 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.05.2003
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 「同種末梢血幹細胞移植のための健常人ドナーからの末梢血幹細胞の動員, 採取に関するガイドライン(以下ガイドライン)」は, 同種末梢血幹細胞移植の保険適用が承認された平成12年4月に日本造血細胞移植学会から公表された. 同時に, 同学会はドナーの短期, 長期の安全性をモニターするためにドナー登録制と5年間の追調査を開始した. 一方, 平成12年3月にG-CSF投与を受けた血縁ドナーがアフェレーション中に血管迷走神経反射によると思われる停止を来した. そこで, 同学会はドナーの安定性を確保するため, 日本輸血学会に協力を依頼し, 両学会合同ガイドライン委員会を設置し, 平成12年7月21日ガイドライン改訂第2版を公表した. 平成14年3月, ドナー登録は2年で1400例に達し, 有害事象も20例以上報告された, 一方, 欧米では重大な有害事象(脾破裂, 脳血管障害, 心筋梗塞など), さらに末梢血幹細胞の動員, 採取との関連が指定される死亡例(8例)の存在も明らかにされた. 平成13年9月に実施された両学会評議員を対象としたアンケート調査でガイドラインの改訂の要望が出された. そこで, 同年11月合同ガイドライン委員会はガイドライン改訂の検討を開始した. 数回のガイドライン委員会の検討の後, 平成14年5月, 日本造血細胞移植学会理事会で最終的な検討が行われ, ガイドライン改訂第3版(案)が作成された. この第3版(案)は両学会評議員に送付され, 意見やコメントを参考に最終的な修正を加え, ガイドライン改訂第3版(最終案)が作成された. ガイドラインの主な改訂点は, ガイドラインの背景と目的, インフォームドコンセントの内容, ドナーの適格性(特に年齢)と安全性確保, 末梢血幹細胞の動員やアフェレーシスに関する注意などである. 最終的なチェック終了後, 近く公表予定である. |
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ISSN: | 0546-1448 |