当科における鼻出血症例の臨床的研究-外来症例と入院症例の比較検討

鼻出血は日常臨床で数多く遭遇する疾患であり, その多くは簡単な圧迫や焼灼により止血は比較的容易である. しかし少数ではあるが止血困難で入院加療を要する症例を経験する. 鼻出血の疫学的報告はいくつか存在するが, 同一施設で外来症例と入院症例を比較検討したものは現在まで報告されていない. 今回我々は, 最近4年間に当科において入院を要した鼻出血症例103例と, 最近1年間に入院せず外来加療を行った337例を検討した. 性差, 年齢, 季節, 出血部位, 受診時血圧について外来症例, 入院症例で比較検討したところ, 入院を要する症例は冬に多く, その中に内服加療を受けていない境界域高血圧症例が多く認...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 107; no. 1; pp. 18 - 24
Main Authors 長谷川武, 竹腰英樹, 菊地茂, 飯沼壽孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科学会 20.01.2004
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ISSN0030-6622

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Summary:鼻出血は日常臨床で数多く遭遇する疾患であり, その多くは簡単な圧迫や焼灼により止血は比較的容易である. しかし少数ではあるが止血困難で入院加療を要する症例を経験する. 鼻出血の疫学的報告はいくつか存在するが, 同一施設で外来症例と入院症例を比較検討したものは現在まで報告されていない. 今回我々は, 最近4年間に当科において入院を要した鼻出血症例103例と, 最近1年間に入院せず外来加療を行った337例を検討した. 性差, 年齢, 季節, 出血部位, 受診時血圧について外来症例, 入院症例で比較検討したところ, 入院を要する症例は冬に多く, その中に内服加療を受けていない境界域高血圧症例が多く認められた. 境界域高血圧症例は冬に血圧上昇があり鼻出血症状を呈するものと推察した. 1回でも鼻出血により入院を要した境界域高血圧症例の場合, 冬に再発する可能性があるため厳重な管理が必要であると考えられた.
ISSN:0030-6622