5種類の閉鎖式三方活栓の特徴と安全性

<はじめに>輸液ラインに使用する三方活栓は, コックの操作性や利便性などにより, 部署によって多用しているのが現状である. しかし, 一般的な三方活栓の混注口は開方式になっているため, 混注口からの細菌汚染の原因となることが指摘されおり感染対策上問題視されている. 近年は, 三方活栓の短所である混注口を閉鎖式にした製品が各社から販売されている. 今回, 各社から販売されている閉鎖式三方活栓の5種類について, その操作性や安全性などを評価したので報告する. <対象器材>A:セイフTポートタイプII(R)(日本シャーウッド) B:プラネクタSC(R)(JMS) C:トップ三...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 54; no. 3; p. 551
Main Authors 島崎豊, 土屋幸子, 伊藤幸代
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農村医学会 01.09.2005
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ISSN0468-2513

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Abstract <はじめに>輸液ラインに使用する三方活栓は, コックの操作性や利便性などにより, 部署によって多用しているのが現状である. しかし, 一般的な三方活栓の混注口は開方式になっているため, 混注口からの細菌汚染の原因となることが指摘されおり感染対策上問題視されている. 近年は, 三方活栓の短所である混注口を閉鎖式にした製品が各社から販売されている. 今回, 各社から販売されている閉鎖式三方活栓の5種類について, その操作性や安全性などを評価したので報告する. <対象器材>A:セイフTポートタイプII(R)(日本シャーウッド) B:プラネクタSC(R)(JMS) C:トップ三方活栓NL(R)(トップ) D:シュアプラグ三方活栓(R)(テルモ) E:BDQサイト三方活栓(R)(日本ベクトン) <方法>5社の製品について, コック操作レバーの操作性, 混注口アクセス時の専用アダプター使用の有無や操作性, 混注口の形状と消毒(拭き取り)のしやすさ(混注口に蛍光ペンを塗布し乾燥させて, アルコール綿で清拭した後, ブラックライトで判定), 経済性などについて評価した. <結果及び考察>混注口へのアクセス時に必要な専用アダプターはA社の場合, 間欠的な注入時と持続注入時でも専用のアダプターが必要であった. B社は持続注入時に必要であったが他の製品は不要であった. 混注口へのアクセスは症例によって頻回に行なわれることもあるため, コスト増の原因となることが示唆された. しかし, プライミングボリュームが無いのは, 構造上の特性から専用アダプターが必要なA社とB社であった. コック操作レバーの操作性は, A社のコックは固くて使いにくく, D社は操作レバーがI字型のため開通方向が他社と逆であり操作間違いが危惧された. 混注口の状態と消毒のしやすさは, E社が最も混注口の面がフラットであり消毒も容易であった. 閉鎖式三方活栓は, 通常の三方活栓と比べて汚染の頻度が低いと一般的に考えられている. しかし, 混注口の消毒を確実に行なわないと汚染が除去できないことがあり細心の注意が必要である. 各社の構造にはそれぞれ違いがあり, その特性を理解して正しく使用することが要求される. A社とB社はプライミングボリュームを重視したことで, 専用のアダプターが必要になり, 操作性や経済性に問題を残した. A社・B社・E社には, 三方活栓タイプ以外に輸液ラインにコックを使用しないT字型ポートタイプがあり, 特にE社はデッドスペースもなく専用アダプターも不要のため, 輸液ラインアクセスの主流になることが示唆された. <結語>・三方活栓の使用は, 閉鎖式であっても必要最小限にとどめる ・それぞれの製品特性を理解して使用する ・閉鎖式であっても混注口の消毒は厳密に行なう ・三方活栓タイプとT字型ポートタイプを組み合わせて使用すれば, E社の製品が有用である
AbstractList <はじめに>輸液ラインに使用する三方活栓は, コックの操作性や利便性などにより, 部署によって多用しているのが現状である. しかし, 一般的な三方活栓の混注口は開方式になっているため, 混注口からの細菌汚染の原因となることが指摘されおり感染対策上問題視されている. 近年は, 三方活栓の短所である混注口を閉鎖式にした製品が各社から販売されている. 今回, 各社から販売されている閉鎖式三方活栓の5種類について, その操作性や安全性などを評価したので報告する. <対象器材>A:セイフTポートタイプII(R)(日本シャーウッド) B:プラネクタSC(R)(JMS) C:トップ三方活栓NL(R)(トップ) D:シュアプラグ三方活栓(R)(テルモ) E:BDQサイト三方活栓(R)(日本ベクトン) <方法>5社の製品について, コック操作レバーの操作性, 混注口アクセス時の専用アダプター使用の有無や操作性, 混注口の形状と消毒(拭き取り)のしやすさ(混注口に蛍光ペンを塗布し乾燥させて, アルコール綿で清拭した後, ブラックライトで判定), 経済性などについて評価した. <結果及び考察>混注口へのアクセス時に必要な専用アダプターはA社の場合, 間欠的な注入時と持続注入時でも専用のアダプターが必要であった. B社は持続注入時に必要であったが他の製品は不要であった. 混注口へのアクセスは症例によって頻回に行なわれることもあるため, コスト増の原因となることが示唆された. しかし, プライミングボリュームが無いのは, 構造上の特性から専用アダプターが必要なA社とB社であった. コック操作レバーの操作性は, A社のコックは固くて使いにくく, D社は操作レバーがI字型のため開通方向が他社と逆であり操作間違いが危惧された. 混注口の状態と消毒のしやすさは, E社が最も混注口の面がフラットであり消毒も容易であった. 閉鎖式三方活栓は, 通常の三方活栓と比べて汚染の頻度が低いと一般的に考えられている. しかし, 混注口の消毒を確実に行なわないと汚染が除去できないことがあり細心の注意が必要である. 各社の構造にはそれぞれ違いがあり, その特性を理解して正しく使用することが要求される. A社とB社はプライミングボリュームを重視したことで, 専用のアダプターが必要になり, 操作性や経済性に問題を残した. A社・B社・E社には, 三方活栓タイプ以外に輸液ラインにコックを使用しないT字型ポートタイプがあり, 特にE社はデッドスペースもなく専用アダプターも不要のため, 輸液ラインアクセスの主流になることが示唆された. <結語>・三方活栓の使用は, 閉鎖式であっても必要最小限にとどめる ・それぞれの製品特性を理解して使用する ・閉鎖式であっても混注口の消毒は厳密に行なう ・三方活栓タイプとT字型ポートタイプを組み合わせて使用すれば, E社の製品が有用である
Author 土屋幸子
伊藤幸代
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