気管, 気管支ステント挿入にて呼吸困難を回避した肺癌の1例
症例は44歳, 男性. 平成7年11月より労作性呼吸困難が出現し, 徐々に増悪したため平成8年1月, 当院入院となった. 入院時の胸部X線写真で, 右下肺野に径8cm, 右上肺野に径3cmの腫瘤陰影を認めた. さらに, 気管分岐部直上から左右それぞれの主気管支にわたって著しい狭窄も認められ, これが呼吸困難の主因と考えられた. 直ちに, 全身麻酔下で気管支鏡を用い, expandable metallic stent(以下EMS)を挿入したところ, 呼吸困難は急速に消失した. 挿入時, 気管支粘膜は, 凹凸と隆起, 浮腫に加え, 血管増生及び白苔の付着があり, 喀痰細胞診で肺癌(腺癌)の診断を...
Saved in:
Published in | 気管支学 Vol. 18; no. 6; p. 621 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本気管支学会
25.09.1996
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0287-2137 |
Cover
Summary: | 症例は44歳, 男性. 平成7年11月より労作性呼吸困難が出現し, 徐々に増悪したため平成8年1月, 当院入院となった. 入院時の胸部X線写真で, 右下肺野に径8cm, 右上肺野に径3cmの腫瘤陰影を認めた. さらに, 気管分岐部直上から左右それぞれの主気管支にわたって著しい狭窄も認められ, これが呼吸困難の主因と考えられた. 直ちに, 全身麻酔下で気管支鏡を用い, expandable metallic stent(以下EMS)を挿入したところ, 呼吸困難は急速に消失した. 挿入時, 気管支粘膜は, 凹凸と隆起, 浮腫に加え, 血管増生及び白苔の付着があり, 喀痰細胞診で肺癌(腺癌)の診断を得た. 尚, EMS挿入後, 週1回の内視鏡による壊死物質や分泌物の吸引除去を必要とした. 本症例は, 気管分岐部を中心とする総量42Gyの放射線照射にもかかわらず徐々に悪化し, 死亡した. しかし, EMS挿入によって切迫窒息を回避し, QOLの維持に寄与したと考えられる症例であった. |
---|---|
ISSN: | 0287-2137 |