ORBEYE(R)を使用した精索静脈瘤手術の検討

抄録:【緒言】精索静脈瘤は慢性陰嚢痛や男性不妊症の原因として知られている. 当院では, これまで一般的な手術用顕微鏡にて精索静脈瘤低位結紮術を施行していたが, 2020年4月よりORBEYE(R)(OLYMPUS社)を用いて施行している. 今回, 従来の顕微鏡とORBEYE(R)を使用した顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術の手術成績を比較検討した. 【対象と方法】2015年9月から2020年3月までに従来の顕微鏡を使用し手術を行った40症例(従来群)と2020年4月から2021年4月までにORBEYE(R)を使用した13症例(ORB群)を対象とした. アウトカムは手術時間とリンパ管温存本数とした....

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Published in西日本泌尿器科 Vol. 84; no. 6; pp. 633 - 637
Main Authors 白石裕雅, 和田里章悟, 市川孝治, 佐久間貴文, 窪田理沙, 久住倫宏, 津島知靖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本泌尿器科学会 01.08.2022
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ISSN0029-0726

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Summary:抄録:【緒言】精索静脈瘤は慢性陰嚢痛や男性不妊症の原因として知られている. 当院では, これまで一般的な手術用顕微鏡にて精索静脈瘤低位結紮術を施行していたが, 2020年4月よりORBEYE(R)(OLYMPUS社)を用いて施行している. 今回, 従来の顕微鏡とORBEYE(R)を使用した顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術の手術成績を比較検討した. 【対象と方法】2015年9月から2020年3月までに従来の顕微鏡を使用し手術を行った40症例(従来群)と2020年4月から2021年4月までにORBEYE(R)を使用した13症例(ORB群)を対象とした. アウトカムは手術時間とリンパ管温存本数とした. 【結果】対象患者の年齢中央値は24(10-56)歳であった. 従来群では左側32例, 両側8例, ORB群は左側9例, 両側4例であった. 手術時間は片側症例の従来群32例/ORB群9例で比較し, 中央値はそれぞれ98.5/99.0分(p=0.75)であった. リンパ管温存本数は両側症例を2件とカウントし, 温存本数が不明であった両群からそれぞれ1件を除外して検討し, 従来群47件/ORB群16件における中央値はそれぞれ3/4本(p=0.15)であった. すべての症例で周術期の合併症はなかった. 【結論】今回の検討では従来群とORB群で手術時間, リンパ管温存本数は同等であった. ORBEYE(R)の使用は手術の質を保ったまま, 術者の疲労軽減やモニターでの視野の共有などの利点を得ることができる.
ISSN:0029-0726