亜鉛結合性α2糖蛋白1遺伝子(AGZP1)の上流領域内単塩基遺伝子多型(AZGP1-1115C>T)と成人女性の橈骨骨密度との相関

亜鉛結合性α2糖蛋白1遺伝子(AGZP1)は第7染色体長腕の7q22. 1に位置する, 未知の機能の血清糖蛋白をコードする遺伝子である. われわれは体系的網羅的SNP解析の1次スクリーニングで, AZGP1-1115C>Tと骨密度値との有意な相関を見出したので報告する. まず地域健康診断受検者から384例を抽出し, 末梢血DNAからSNP遺伝子型を解析して年齢および伸長, 体重で補正した前腕骨DEXA骨密度値との直線回帰分析での相関係数(r)から1次スクリーニングを行った結果, AZGP1-1115C>T遺伝子型で分類した対象群の平均補正骨密度値はCアレルホモ(n=50), ヘテロ...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 70; no. 6; p. 615
Main Authors 内田珠美, 梶田満子, 河越美保, 須藤悦宏, 吉田祥子, 小平美奈, 江見充, 江面陽一, 伊藤博元
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 15.12.2003
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ISSN1345-4676

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Summary:亜鉛結合性α2糖蛋白1遺伝子(AGZP1)は第7染色体長腕の7q22. 1に位置する, 未知の機能の血清糖蛋白をコードする遺伝子である. われわれは体系的網羅的SNP解析の1次スクリーニングで, AZGP1-1115C>Tと骨密度値との有意な相関を見出したので報告する. まず地域健康診断受検者から384例を抽出し, 末梢血DNAからSNP遺伝子型を解析して年齢および伸長, 体重で補正した前腕骨DEXA骨密度値との直線回帰分析での相関係数(r)から1次スクリーニングを行った結果, AZGP1-1115C>T遺伝子型で分類した対象群の平均補正骨密度値はCアレルホモ(n=50), ヘテロ(n=173), Tアレルホモ(n=157)の順に低く(0. 379±0. 056g/cm2, 0. 399±0. 055g/cm2, 0. 405±0. 052g/cm2)遺伝子量効果が示唆された(r=0. 14, p=0. 007). 2次スクリーニングとして行った, 単一医療機関からの症例384例および, 上記と異なる検診被験者からの集団384例で検討した結果は有意な相関を示さなかったが, いずれもメジャーアレルのTアレルを保有するものほど高い骨密度を呈していた(r=0. 01, 0. 06). AZGP1の機能は不明であるが, 遺伝子多型に基づくプロモーター活性の変化の有無ともたらされる細胞, 個体レベルでの機能変化について検討する必要があると考えられた.
ISSN:1345-4676