急性硬膜外血腫後のKernohan notchにより生じた片麻痺患者のリハビリテーション
頭蓋内テント上病変は, 反対側の上下肢に麻痺を来すが, 時に対側の中脳大脳脚が側頭葉内側で圧排されることにより, 病変と同側に片麻痺を来すことがある. この圧排はKernohan notchと呼ばれ, 画像診断学的に確認した報告は少なく, またリハビリテーション医学的見地からの報告はほとんど行われていない. 今回, 我々はその1症例を経験したので, 文献的考察も含め報告する. 「症例」55歳, 男性. 「現病歴および経過」平成11年3月クレーンより落下してきたパイプで上半身打撲, 右側頭部硬膜外血腫を認め, 開頭血腫除去術施行. 翌日より血腫と同側の右片麻痺が著明となり, リハ目的で5月当院転...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 37; no. 12; pp. 1046 - 1047 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.12.2000
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 頭蓋内テント上病変は, 反対側の上下肢に麻痺を来すが, 時に対側の中脳大脳脚が側頭葉内側で圧排されることにより, 病変と同側に片麻痺を来すことがある. この圧排はKernohan notchと呼ばれ, 画像診断学的に確認した報告は少なく, またリハビリテーション医学的見地からの報告はほとんど行われていない. 今回, 我々はその1症例を経験したので, 文献的考察も含め報告する. 「症例」55歳, 男性. 「現病歴および経過」平成11年3月クレーンより落下してきたパイプで上半身打撲, 右側頭部硬膜外血腫を認め, 開頭血腫除去術施行. 翌日より血腫と同側の右片麻痺が著明となり, リハ目的で5月当院転院. 当院入院時, 右片麻痺に加え左の筋力低下があり, 嚥下障害も認めた. 短下肢装具と杖による歩行訓練, ADL訓練, 嚥下訓練, 左の筋力増強訓練を行った. Br. stageは上肢-手指-下肢がIII-IV-IVよりIV-V-Vとなり, Barthel indexも45点から95点と改善し, 普通食摂取可能, ADL自立となり退院となった. 「考察」病変と同側の片麻痺が発生した場合Kernohan notchを念頭に置く必要があり, 同側の病変に加え, 本症例のように対側にも障害を生じることがあり注意を要する. 本来, 脳挫傷を起こした症例は一般的に予後不良と考えられているが, 本症例も含め, MRIでKernohan notchを確認できた11例の大部分がADL自立となったことより, 手術が早期に行われ, 適切なリハを行うことにより, ADLの向上が期待できるものと思われた. |
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ISSN: | 0034-351X |