Stanford A型急性大動脈解離手術の体外循環法―送血法について
【目的】2001年11月から2007年11月までの6年間でStanford A型急性大動脈解離に対して緊急手術を107症例行った. 今回, 体外循環の送血方法の違いについて検討したので報告する. 【体外循環方法】送血ポンプは全例ローラーポンプを使用した. 送血部位は, 経心尖部送血が77例, それ以外が30例であった. 体外循環は, 直腸温25度以下, 鼓膜温20度以下にて循環停止とし, 逆行性脳灌流を用いて脳保護を行った. 経心尖部送血には, テルモ社製Softflow Extended Aortic Cannula 7mm(CV-4948)または8mm(CV-4950)を使用し, 送血カニ...
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Published in | 体外循環技術 Vol. 35; no. 2; p. 191 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本体外循環技術医学会
01.06.2008
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ISSN | 0912-2664 |
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Summary: | 【目的】2001年11月から2007年11月までの6年間でStanford A型急性大動脈解離に対して緊急手術を107症例行った. 今回, 体外循環の送血方法の違いについて検討したので報告する. 【体外循環方法】送血ポンプは全例ローラーポンプを使用した. 送血部位は, 経心尖部送血が77例, それ以外が30例であった. 体外循環は, 直腸温25度以下, 鼓膜温20度以下にて循環停止とし, 逆行性脳灌流を用いて脳保護を行った. 経心尖部送血には, テルモ社製Softflow Extended Aortic Cannula 7mm(CV-4948)または8mm(CV-4950)を使用し, 送血カニューレを任意に屈曲できるようMedtronic社製ベントカテーテル(12002)に付随しているスタイレットを使用した. 温度管理は, 直腸温, 膀胱温, 鼓膜温を選択しているが, 緊急手術時には直腸温, 膀胱温が正確に反映されないことが懸念されるため, 鼓膜温, 脱血温および冷却時間で管理した. 体外循環時間は, 232±46(分), 大動脈遮断時間137±36(分), 循環停止時間59±18(分)であった. 【対象および方法】経心尖部送血を行った77例とそれ以外の30例を対象とし, 執刀から体外循環開始までの時間と手術時間について比較した. 【結果】執刀から体外循環開始までの時間(分)は, それぞれ35.0±9.4, 50.8±24.7(p<0.002)で, 手術時間(分)は, 396.1±95.6, 447.4±101.3(p<0.05)となり, いずれも経心尖部送血の方が有意に短かった. 【考察・結論】Stanford A型大動脈解離手術の送血部位の決定は患者の状態や各施設の考え方により様々な方法が行われているが, 経心尖部送血法は体外循環開始までの時間を有意に短縮でき, 大動脈真腔内へ順行性に送血を行えることから, 有効な送血方法であると考えている. |
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ISSN: | 0912-2664 |