習慣性膝蓋骨脱臼の治療経験

症例は19歳女性. 既往歴として, てんかんがあり. 幼少時より左膝蓋骨の外側脱臼を繰り返し, 最近になってその頻度が増加し, たびたび歩行不能となるため当科初診. 初診時, 膝伸展時に膝蓋骨は外側に脱臼し, そのまま屈曲すると疼痛のため屈曲不能となった. 屈曲初期に膝蓋骨をやや内方におさえてやると, スムーズに屈曲し, 完全屈曲が可能となった. 単純X線では, 伸展位で膝蓋骨は, 外側に大きく変位しており, 立位長尺X線では著明なX脚を認めた. 膝蓋骨整復位の軸写では, 大腿骨顆部の著明な低形成を認めた. 保存的に経過を見ていたが改善しないため手術を行った. 脛骨結節を内下方へ移行し, 内側...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 46; no. 4; pp. 1257 - 1258
Main Authors 中村智, 河野昌文, 三原圭司, 渡邊毅, 安倍徹, 田口厚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.1997
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ISSN0037-1033

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Summary:症例は19歳女性. 既往歴として, てんかんがあり. 幼少時より左膝蓋骨の外側脱臼を繰り返し, 最近になってその頻度が増加し, たびたび歩行不能となるため当科初診. 初診時, 膝伸展時に膝蓋骨は外側に脱臼し, そのまま屈曲すると疼痛のため屈曲不能となった. 屈曲初期に膝蓋骨をやや内方におさえてやると, スムーズに屈曲し, 完全屈曲が可能となった. 単純X線では, 伸展位で膝蓋骨は, 外側に大きく変位しており, 立位長尺X線では著明なX脚を認めた. 膝蓋骨整復位の軸写では, 大腿骨顆部の著明な低形成を認めた. 保存的に経過を見ていたが改善しないため手術を行った. 脛骨結節を内下方へ移行し, 内側関節包の縫縮と外側解離, さらにPF関節の外側近位部の挙上を行った. 現在は可動域は良好で, 正座可能となっており, 歩行, 階段昇降もスムーズである. しかしPF関節の適合性は不十分で今後, 充分な経過観察が必要である.
ISSN:0037-1033