高齢者の姿勢―有痛性円背と重心線の位置

70歳以上の高齢者における有痛性円背と重心線との関係を中心に調査した. 対象はI群:健康成人60名(男性30名, 女性30名, 平均23歳), II群:慢性腰背痛を有する70歳以上の42症例(男性18例, 女性24例, 平均75歳)である. 方法は重心動揺, 立位側面普通写真, 脊柱全長立位側面X線写真について検討した. 重心線から胸椎後弯頂点までの距離が増大するほど第1仙椎上縁の傾斜角が減少して, 骨盤が後傾する傾向を示した. 胸椎後弯頂点の高位を上位型, 中位型, 下位型の3型に分類すると, I群は上位型52%, 中位型40%で両者で92%を占め, 下位型はわずかに8%のみであったが, I...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inリハビリテーション医学 Vol. 29; no. 12; p. 1112
Main Authors 原田孝, 茂手木三男, 岡島行一, 鶴岡広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 01.12.1992
Online AccessGet full text
ISSN0034-351X

Cover

More Information
Summary:70歳以上の高齢者における有痛性円背と重心線との関係を中心に調査した. 対象はI群:健康成人60名(男性30名, 女性30名, 平均23歳), II群:慢性腰背痛を有する70歳以上の42症例(男性18例, 女性24例, 平均75歳)である. 方法は重心動揺, 立位側面普通写真, 脊柱全長立位側面X線写真について検討した. 重心線から胸椎後弯頂点までの距離が増大するほど第1仙椎上縁の傾斜角が減少して, 骨盤が後傾する傾向を示した. 胸椎後弯頂点の高位を上位型, 中位型, 下位型の3型に分類すると, I群は上位型52%, 中位型40%で両者で92%を占め, 下位型はわずかに8%のみであったが, II群では下位型が過半数の54%を占めた. これを膝関節の屈曲度との関連性からみると, 上位型5°, 中位型7°, 下位型12°であった. 重心線から胸椎後弯頂点までの距離と脊柱のX線所見との関係については, 脊椎骨粗鬆症が99 mmでもっとも長く, ついで腰部変性後弯93 mm, 脊椎分離辷り症88 mm, 椎間板障害が75 mmでもっとも短いことが知られた. 高齢者の胸椎後弯変形は, 頸椎の前弯, 骨盤の傾斜, 股関節の伸展ならびに膝関節の屈曲と深い関連性のあることが知られた. <質疑応答> 江畑公仁男(秋田大):対象として腰椎の前後弯等についても同じような症例を選ばれたのでしょうか.
ISSN:0034-351X