二分脊椎児の上肢機能について

【目的】二分脊椎児に対し上肢機能検査を行い, その影響因子について検討した. 【方法】対象は千葉県こども病院の二分脊椎外来に通院中の開放性脊髄髄膜瘤25例であり, 男14例, 女11例. 全例小学生で調査時年齢は平均9歳5カ月である. また, 対照群として健常児小学生24名を選び, 同様の検査を行った. 年齢は平均9歳1カ月と, ほぼ二分脊椎例と同様であった. 上肢機能の評価はJebsen hand function testを基にTaylerらが5歳以上の子どもの上肢機能の評価用に作製したdevelopmental hand function testを使用した. また全例にMRIによる脳・...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 29; no. 11; p. 985
Main Authors 亀ケ谷真琴, 篠原裕治, 品田良之, 田山智子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 01.11.1992
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ISSN0034-351X

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Summary:【目的】二分脊椎児に対し上肢機能検査を行い, その影響因子について検討した. 【方法】対象は千葉県こども病院の二分脊椎外来に通院中の開放性脊髄髄膜瘤25例であり, 男14例, 女11例. 全例小学生で調査時年齢は平均9歳5カ月である. また, 対照群として健常児小学生24名を選び, 同様の検査を行った. 年齢は平均9歳1カ月と, ほぼ二分脊椎例と同様であった. 上肢機能の評価はJebsen hand function testを基にTaylerらが5歳以上の子どもの上肢機能の評価用に作製したdevelopmental hand function testを使用した. また全例にMRIによる脳・脊髄全般にわたる検索と, WISC-R知能検査を同時に施行した. 【結果】二分脊椎児と健常児の比較では, サブテストtotal時間で二分脊椎児の方が有意に劣っていた. また, サブテストtotal時間を用い, 二分脊椎児間で年齢(6~8歳と9~12歳), 運動麻痺レベル(L3以上とL4以下), シャント回数(2回以下と3回以上), IQ(79点以下と80点以上), MRI所見として脊髄空洞症とArnold-Chiari奇形の有無の5項目についておのおのを比較すると, 年齢とシャント回数において差がみられた. 【結論】今回の検討から, 二分脊椎児の上肢機能への影響因子としては, 年齢的要因とシャント回数, つまり水頭症のコントロールがもっとも考えられた. <質疑応答> 発言 陣内一保(座長):二分脊椎児の上肢機能の問題は自己導尿の修復にもつながる重要な問題であり, 引き続きご検討ください.
ISSN:0034-351X