人工膝関節置換術のQuality of Lifeへの影響
「目的」人工膝関節置換術(以下TKA)によるQuality of life(以下QOL)に及ぼす影響については, さまざまな方法により評価が試みられているが, QOLは極めて多面的であり, その評価は容易ではない. 今回我々はTKAを施行した症例に対してその評価の1方法に基づいて, TKAのQOLに及ぼす影響について検討した. 「対象」TKAを施行した25例37膝で, 性別は男性1例, 女性24例であり, 疾患はOA13例16膝, RA12例21膝である. 手術時平均年齢70歳, 術後経過観察期間平均34カ月である. 「方法」術前, 術後調査時の日本整形外科学会治療判定基準(以下JOA sco...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 37; no. 11; p. 825 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.11.2000
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 「目的」人工膝関節置換術(以下TKA)によるQuality of life(以下QOL)に及ぼす影響については, さまざまな方法により評価が試みられているが, QOLは極めて多面的であり, その評価は容易ではない. 今回我々はTKAを施行した症例に対してその評価の1方法に基づいて, TKAのQOLに及ぼす影響について検討した. 「対象」TKAを施行した25例37膝で, 性別は男性1例, 女性24例であり, 疾患はOA13例16膝, RA12例21膝である. 手術時平均年齢70歳, 術後経過観察期間平均34カ月である. 「方法」術前, 術後調査時の日本整形外科学会治療判定基準(以下JOA score)の推移, およびThe Rosser Index Matrixを使用したQOL scoreの術前後の推移, 手術に対する満足度等について直接検診とアンケート調査により行った. 「結果」TKA後, JOA scoreおよびQOL score共に改善していた. TKA後のQOL scoreはOA例はRA例より高い傾向にあった. OA例ではJOA scoreが改善すれば, QOL score, 満足度とも高い傾向があったが, RAでは必ずしも全例が同様の傾向を呈していなかった. RAは多関節罹患であり, 症状が進行していくことや疼痛に対する苦悩などOAに比し, 抑うつ状態に陥りやすい等, 精神面の影響がより強いことが示唆された. つまり全身状態や精神面を含めたトータル・マネジメントを考慮し治療を行うことがQOLの改善に結びつくと考えた. |
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ISSN: | 0034-351X |