ウルトラフレックスEMSを挿入した, 直腸癌術後気管支内浸潤の1例

症例は69歳, 男性. 平成5年4月, 直腸癌手術, 人工肛門造設. 平成9年5月30日, 右上葉の腫瘤影の為, 当科紹介. 同日のTBLBで直腸癌肺転移と診断. 右中間幹内側壁に発赤を認めたのみであった. 8月より咳嗽・呼吸困難自覚. 8月15日の気管支鏡再検で, 右中間幹にリンパ節転移からの節外進展による気管支内浸潤を認めた. 放射線・LASER治療の後, 再狭窄予防の目的で, 10月6日, EMSを挿入した. ウルトラフレックスステントは, 形状記憶合金で作成され, 数mm単位の糸巻き結節を手元のフィンガーリングを引く事により, はずしてゆく構造であり, 最後の結節をはずすまでは, ステ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in気管支学 Vol. 20; no. 2; p. 184
Main Authors 松本修一, 平松哲夫, 高橋清一, 小島英嗣, 青山昌広, 孫政実
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.03.1998
Online AccessGet full text
ISSN0287-2137

Cover

More Information
Summary:症例は69歳, 男性. 平成5年4月, 直腸癌手術, 人工肛門造設. 平成9年5月30日, 右上葉の腫瘤影の為, 当科紹介. 同日のTBLBで直腸癌肺転移と診断. 右中間幹内側壁に発赤を認めたのみであった. 8月より咳嗽・呼吸困難自覚. 8月15日の気管支鏡再検で, 右中間幹にリンパ節転移からの節外進展による気管支内浸潤を認めた. 放射線・LASER治療の後, 再狭窄予防の目的で, 10月6日, EMSを挿入した. ウルトラフレックスステントは, 形状記憶合金で作成され, 数mm単位の糸巻き結節を手元のフィンガーリングを引く事により, はずしてゆく構造であり, 最後の結節をはずすまでは, ステント拡張後も口側への移動が容易である. 0.038インチのガイドワイヤー使用により, 気管支鏡観察下での挿入・操作が可能で, 有用なステントと考えられた. 症例は, 2ヵ月後の現在も右中間幹の開存が得られ, 呼吸困難の再発を認めていない.
ISSN:0287-2137