脊髄梗塞の機能的予後についての検討

「目的」脊髄梗塞は脳梗塞に比べ頻度は少ないが, 体幹四肢に重篤な機能障害をもたらす. 画像診断の発達により診断が容易になったとはいえ, 外傷性脊髄損傷と同様に長期のリハビリテーションが必要になる場合が多い. 最近経験した6例について, 運動機能の予後について検討した. 「対象と方法」当科で入院リハを行った脊髄梗塞例は48~72歳の6名で, 男性5例, 女性1例, 特発性が2例, 大動脈解離に伴うものが1例, 肝動脈塞栓術に伴うものが1例であった. 全例が中位から下位胸髄レベルで, 完全麻痺が2例, 不全麻痺が4例であった. 「結果」不全麻痺例4例ではASIA motor scoreの改善は4か...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 38; no. 10; p. 860
Main Authors 横串算敏, 中野和彦, 成田寛志, 管野敦哉, 柿澤雅史, 江刺家修, 大畠純一, 青木光広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.10.2001
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」脊髄梗塞は脳梗塞に比べ頻度は少ないが, 体幹四肢に重篤な機能障害をもたらす. 画像診断の発達により診断が容易になったとはいえ, 外傷性脊髄損傷と同様に長期のリハビリテーションが必要になる場合が多い. 最近経験した6例について, 運動機能の予後について検討した. 「対象と方法」当科で入院リハを行った脊髄梗塞例は48~72歳の6名で, 男性5例, 女性1例, 特発性が2例, 大動脈解離に伴うものが1例, 肝動脈塞栓術に伴うものが1例であった. 全例が中位から下位胸髄レベルで, 完全麻痺が2例, 不全麻痺が4例であった. 「結果」不全麻痺例4例ではASIA motor scoreの改善は4から8点で, 屋内実用歩行まで至った例は後脊髄動脈症候群を呈した1例のみであった. 他の2例は移乗が介助自立2例, 不能が1例, 完全麻痺の2例では移乗介助自立1例, 不能が1例であった. 高齢による筋力低下, 運動耐用能の低下, 心不全など心肺機能の低下などがリハ阻害因子であった. 「考察および結語」脊髄梗塞は外傷性脊髄損傷と同様で, 障害レベルによって機能的な予後が左右されるが, リハ阻害因子がそのまま機能的な予後に影響する. 早期リハの介入により, 廃用萎縮を生じさせないことが重要である.
ISSN:0034-351X