運動誘発性心筋虚血によるactivation-recovery intervalの変化

体表面心電図から得られるactivation-recovery interval(ARI)は心筋局所の活動電位持続時間と良好な相関を示すことは知られているが, 運動負荷時に生じる一過性心筋虚血をARIの変化として検討した報告は少ない. 本研究ではARIを標準12誘導心電図から計測し, 運動誘発性心筋虚血での臨床的意義を検討した. 【方法】対象は冠動脈造影で75%以上の有意狭窄を確認した労作狭心症28名と健常者22人(健常群)とした. 労作狭窄症はマスター二階段試験で陽性と判定された11人(陽性群), 陰性と判定された17人(偽陰性群)に分類した. 安静時, 負荷直後, 負荷3分後の標準12誘導...

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Published in心臓 Vol. 37; no. 3; pp. 217 - 222
Main Authors 南家俊彦, 國島友之, 新井まり子, 松本直樹, 三宅良彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 15.03.2005
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ISSN0586-4488

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Summary:体表面心電図から得られるactivation-recovery interval(ARI)は心筋局所の活動電位持続時間と良好な相関を示すことは知られているが, 運動負荷時に生じる一過性心筋虚血をARIの変化として検討した報告は少ない. 本研究ではARIを標準12誘導心電図から計測し, 運動誘発性心筋虚血での臨床的意義を検討した. 【方法】対象は冠動脈造影で75%以上の有意狭窄を確認した労作狭心症28名と健常者22人(健常群)とした. 労作狭窄症はマスター二階段試験で陽性と判定された11人(陽性群), 陰性と判定された17人(偽陰性群)に分類した. 安静時, 負荷直後, 負荷3分後の標準12誘導心電図からQT解析ソフトを用いて心拍ごとのRR間隔, QT間隔, ARIを自動検出した. QT interval, ARIが最大と最小となる誘導間の時間差を心拍補正したQTcd, ARIcdを計測した. 【結果】(1)心拍数:各群で有意差はなかった. (2)QTcd:陽性群は健常群に比し負荷3分後で有意に大きかったが, 偽陰性群と健常群に有意差はなかった. (3)ARIcd:陽性群は健常群に比し負荷直後, 負荷3分後で有意に大きく, さらに負荷直後で偽陰性群が健常群に比し有意に大きかった. 【結語】標準12誘導心電図から得られるARIcdは, 運動負荷誘発性心筋虚血の指標になると考えられた.
ISSN:0586-4488