重症心身障害児・者の坐骨支持座位を妨げるもの

重症心身障害児・者を寝たきりで過ごさせるデメリットは大きく, 循環・呼吸・消化・摂食・骨代謝機能を維持するためにも, また褥瘡予防のためにも座位にして過ごさせたい. 坐骨を支持点にして座らせてあげられるための条件を探るために自立座位がとれない重症心身障害児・者で, 介助座位のとき, 坐骨が主な支持点になっている19名と坐骨での支持が得られない32名を比較調査した. 脊柱側弯や股関節の変形(wind-swept変形と股関節脱臼)の有無と股関節・膝関節と骨盤の可動性について坐骨支持群と坐骨で支持できない群とで比較した. 有意差のあったのは側弯症と脱臼の有無, 股関節, 膝関節の屈曲角, 骨盤回旋度...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 1; p. 68
Main Authors 岡川敏郎, 堀場寿実
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.01.2000
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ISSN0034-351X

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Summary:重症心身障害児・者を寝たきりで過ごさせるデメリットは大きく, 循環・呼吸・消化・摂食・骨代謝機能を維持するためにも, また褥瘡予防のためにも座位にして過ごさせたい. 坐骨を支持点にして座らせてあげられるための条件を探るために自立座位がとれない重症心身障害児・者で, 介助座位のとき, 坐骨が主な支持点になっている19名と坐骨での支持が得られない32名を比較調査した. 脊柱側弯や股関節の変形(wind-swept変形と股関節脱臼)の有無と股関節・膝関節と骨盤の可動性について坐骨支持群と坐骨で支持できない群とで比較した. 有意差のあったのは側弯症と脱臼の有無, 股関節, 膝関節の屈曲角, 骨盤回旋度であった. そこで重症心身障害児・者が坐骨支持で座れる条件として, 1)よく曲がる股関節と膝関節, 2)非対称に固定されない体幹や骨盤, 3)股関節脱臼がないこと, 4)ある程度の体幹支持能力が必要で, このような変形や拘縮を予防していくことが望まれる.
ISSN:0034-351X