顎変形症患者の術前・術後における咀嚼機能の評価法について
顎変形症患者に対して行われている外科的矯正手術では, 審美性と咀嚼機能の改善を目的としている. その中で術後の後戻りには, 咬合の安定が大きく関与している. 咬合の安定は, 術後の矯正学的な手法に委ねられている面が多く, また, 術後の咀嚼運動の変化も大きく影響していると考えられる. 外科的矯正手術においては, 一般的に術直前の咬合は最も不安定な状態で, 術後3ヵ月では, 顎運動および咬合もほぼ安定してくる. しかし, 咀嚼能率の点からは, 咬合状態とは必ずしも並行しない. そこで今回, 外科的矯正手術と咀嚼能率, とくに習慣性咀嚼側での片側咀嚼との関係について検討した. 対象は, 下顎枝矢状...
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Published in | 日本顎変形症学会雑誌 Vol. 8; no. 2; p. 72 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本顎変形症学会
15.08.1998
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0916-7048 |
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Summary: | 顎変形症患者に対して行われている外科的矯正手術では, 審美性と咀嚼機能の改善を目的としている. その中で術後の後戻りには, 咬合の安定が大きく関与している. 咬合の安定は, 術後の矯正学的な手法に委ねられている面が多く, また, 術後の咀嚼運動の変化も大きく影響していると考えられる. 外科的矯正手術においては, 一般的に術直前の咬合は最も不安定な状態で, 術後3ヵ月では, 顎運動および咬合もほぼ安定してくる. しかし, 咀嚼能率の点からは, 咬合状態とは必ずしも並行しない. そこで今回, 外科的矯正手術と咀嚼能率, とくに習慣性咀嚼側での片側咀嚼との関係について検討した. 対象は, 下顎枝矢状分割術を施行した顎変形症患者として, 術前と, 術後で比較検討した. <方法>咀嚼能率の測定には, 従来より検討している被験食品としてPack-Cracker(昭和薬品化工)を用い, 蛍光色素(Fluoresceine Sodium)の溶出量を測定する方法で行った. また, OCCLUZAR(FUJI FILM社製)を用い, 術前, 術後の咬合状態, 咬合中心の変化を検討した. <結果>顎変形症症例では術後3ヵ月で咬合状態は約60%で改善され, 咀嚼能率は70%の症例で術直前まで回復する傾向が認められた. 健常者との比較においては, 咀嚼能率は, 明らかに低値を示した. 片側での咀嚼においては習慣性咀嚼側での咀嚼能率が必ずしも良くはないとのことが示唆され, また, OCCLUZARの結果から習慣性咀嚼側の推測が可能なのではないかと考えられた. 質問 愛知学院大, 歯, 1口外 稲本浩 3ヵ月までfollowしているが, それ以後長期に観察したものがあるか. 回答 奥羽大, 歯, 口外I 落合政幸 同一症例で, 術前から長期にわたり, 本咀嚼試験を施行した患者さんはおりませんが, 今後検討を重ねていきたいと考えております. |
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ISSN: | 0916-7048 |