成分採血由来血小板製剤における試作ポリオレフィンバッグの有用性について

目的:成分採血由来濃厚血小板(以下PC)の品質を採血後72時間まで良好に維持するには, 血小板数が多いと大きな通気量が必要であるため, 現行のポリ塩化ビニル(以下PVC)バッグでは表面積を大きくするかあるいは, 複数のバッグに分割しなければならない. しかし, これら二つの方法は作業面で問題がある. そこで我々は, 品質を良好に維持するため, 新材質ポリオレフィン(広瀬豊, 他:第36回日本輸血学会総会;以下PO)によるバッグを試作し, その有用性を検討した. 方法:試作バッグのサイズと形状は, 製品の血小板数分布に対する通気量と, 成分採血装置へのセットなどの作業面から決めた. 成分採血装置...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 35; no. 2; p. 300
Main Authors 飯田俊二, 古川知佳子, 岡田基文, 平井健策, 大軒子郎, 小川昌昭, 二川準
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1989
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Abstract 目的:成分採血由来濃厚血小板(以下PC)の品質を採血後72時間まで良好に維持するには, 血小板数が多いと大きな通気量が必要であるため, 現行のポリ塩化ビニル(以下PVC)バッグでは表面積を大きくするかあるいは, 複数のバッグに分割しなければならない. しかし, これら二つの方法は作業面で問題がある. そこで我々は, 品質を良好に維持するため, 新材質ポリオレフィン(広瀬豊, 他:第36回日本輸血学会総会;以下PO)によるバッグを試作し, その有用性を検討した. 方法:試作バッグのサイズと形状は, 製品の血小板数分布に対する通気量と, 成分採血装置へのセットなどの作業面から決めた. 成分採血装置PCSまたはV-50でPRPをPO(LGP)600ml-PVC1000mlダブルバッグ(ニッショー)に, PC(10単位)をPO(HGP)1100mlシングルバッグ(ニッショー)に採取した. PRPは, PO(LPG)600mlバッグに常法によりPC(5単位)を調製した. これらを22℃で振盪保存し, 採血後24時間毎に72時間までpH, 血液ガス, 凝集能, 変形能, %HSR, 乳酸生成量, 形態, MPVなどを測定した. また, 比較対照として現行の製品についても同様に測定した. 成績:1バッグ当りの血小板数が比較的多い製品について調べた結果, 試作バッグで保存したPCは現行の製品に比べてpH, PO_2 , HCO_3 -, 凝集能, 変形能, %HSRなどの低下, 乳酸の上昇は緩やかであった. 血小板の形態変化も緩やかであったが, 一部に膨化・空胞化していると思われる血小板が見られた. 試作バッグは, 遠心操作に対するバッグ強度が現行のバッグよりも弱かったが, その他の作業面では特に問題はなかった. 結論:今回試作したPOバッグで保存した成分採血由来PCは, 現行の製品よりも良好な品質を維持することが示唆された. また, 試作POバッグは実作業における操作性も, 問題がないことが確認された.
AbstractList 目的:成分採血由来濃厚血小板(以下PC)の品質を採血後72時間まで良好に維持するには, 血小板数が多いと大きな通気量が必要であるため, 現行のポリ塩化ビニル(以下PVC)バッグでは表面積を大きくするかあるいは, 複数のバッグに分割しなければならない. しかし, これら二つの方法は作業面で問題がある. そこで我々は, 品質を良好に維持するため, 新材質ポリオレフィン(広瀬豊, 他:第36回日本輸血学会総会;以下PO)によるバッグを試作し, その有用性を検討した. 方法:試作バッグのサイズと形状は, 製品の血小板数分布に対する通気量と, 成分採血装置へのセットなどの作業面から決めた. 成分採血装置PCSまたはV-50でPRPをPO(LGP)600ml-PVC1000mlダブルバッグ(ニッショー)に, PC(10単位)をPO(HGP)1100mlシングルバッグ(ニッショー)に採取した. PRPは, PO(LPG)600mlバッグに常法によりPC(5単位)を調製した. これらを22℃で振盪保存し, 採血後24時間毎に72時間までpH, 血液ガス, 凝集能, 変形能, %HSR, 乳酸生成量, 形態, MPVなどを測定した. また, 比較対照として現行の製品についても同様に測定した. 成績:1バッグ当りの血小板数が比較的多い製品について調べた結果, 試作バッグで保存したPCは現行の製品に比べてpH, PO_2 , HCO_3 -, 凝集能, 変形能, %HSRなどの低下, 乳酸の上昇は緩やかであった. 血小板の形態変化も緩やかであったが, 一部に膨化・空胞化していると思われる血小板が見られた. 試作バッグは, 遠心操作に対するバッグ強度が現行のバッグよりも弱かったが, その他の作業面では特に問題はなかった. 結論:今回試作したPOバッグで保存した成分採血由来PCは, 現行の製品よりも良好な品質を維持することが示唆された. また, 試作POバッグは実作業における操作性も, 問題がないことが確認された.
Author 岡田基文
平井健策
大軒子郎
飯田俊二
二川準
小川昌昭
古川知佳子
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