食道癌手術例に対する摂食チームアプローチにおける歯科口腔医療者の役割と効果
【目的】昨年度本学会総会にて報告した食道癌術後の経口摂食機能障害の原因に基いて, 大阪大学では歯学部(歯科医師, 歯科衛生士)と医学部(外科医師, 看護婦, 栄養士)により, 術後の経口摂食量の増加を目的とする第1期チーム(97年6月~98年5月)と術後経口摂取機能の早期回復により早期退院を促し, 社会復帰を支援する第2期チーム(98年6月~)を編成した. 第1期と第2期の成績を検討し, 食道癌術後の摂食チームにおける歯科医療者の役割と効果について考察した. 【方法】第1期チームの成績は, 誤嚥性肺炎, 退院時経口摂取量を編成前と比較し, 第1期チームと第2期チームでは, 吻合部リークの頻度,...
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Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 3; no. 2; pp. 67 - 68 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
01.12.1999
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ISSN | 1343-8441 |
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Summary: | 【目的】昨年度本学会総会にて報告した食道癌術後の経口摂食機能障害の原因に基いて, 大阪大学では歯学部(歯科医師, 歯科衛生士)と医学部(外科医師, 看護婦, 栄養士)により, 術後の経口摂食量の増加を目的とする第1期チーム(97年6月~98年5月)と術後経口摂取機能の早期回復により早期退院を促し, 社会復帰を支援する第2期チーム(98年6月~)を編成した. 第1期と第2期の成績を検討し, 食道癌術後の摂食チームにおける歯科医療者の役割と効果について考察した. 【方法】第1期チームの成績は, 誤嚥性肺炎, 退院時経口摂取量を編成前と比較し, 第1期チームと第2期チームでは, 吻合部リークの頻度, 手術から補助栄養終了までの期間, 食事開始から補助栄養終了までの期間, 食事開始後在院日数, 術後在院日数について比較した. 結果:第1期チームにより, 誤嚥性肺炎は編成前の44%から0%に, 退院時経口摂取量は859±355Kcal/日から1184±306Kcal/日に向上した. 第2期チームになり, 吻合部リークの頻度は50%から29%に, 手術から補助栄養終了までの期間は45.5±24日から30.4±17.6日に, 食事開始から補助栄養終了までの期間は14.0±8.7日から9.2±6.1日に, 食事開始後在院日数は30.4±14.5日から23.8±12.5日に, 術後在院日数61.6±28.5日から45.0±20.9日に改善された. 【考察】全例に術前から退院後まで関与する第2期チームにより, 社会復帰に必要な要因が改善された. 歯科の関与の内容は, 手術に伴う摂食嚥下に関係する器質障害や機能障害の原因の防止, 術後摂食に関わる合併症の説明と指導, 誤嚥性肺炎の防止および創部治癒促進のための口腔衛生指導やPTC, そして(暫間的)歯科治療である. このチームの特徴は, 歯科医療職が術前後に関わることである. 歯科医療職の食道癌チームでの役割は, 口腔衛生管理や指導, 口腔機能の術前の回復治療, 創部治癒状態の向上を通じて, 術後の安全な経口摂食機能を向上させ, 早期の社会復帰を促すことである. |
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ISSN: | 1343-8441 |