秋田県での献血者血液のGPT値に関する検討

秋田県での過去のGPPT 36単位以上を調査したところ, 400ml献血者群では, 200ml献血者群よりも有意に高率であり, この傾向は男性に顕著であった. 将来400ml献血をより推進する上で, また, GPTの検査そのものが従来の輸血後肝炎を予防するという, 意味よりも, 献血者の健康指標としてとらえられるであろうことを考えると, このようなGPT高値者の背景を知っておくことは重要なことと考えられる. 今回, 400ml献血者GPT36単位以上を示した例について, 肥満度やアルコール飲用との関連性を検討したので, その成績を報告する. 【対象および方法】昭和61年4月から平成2年3月まで...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 36; no. 2; p. 332
Main Authors 大里則子, 阿部真, 田上正子, 堀慶久, 吉岡尚文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1990
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ISSN0546-1448

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Summary:秋田県での過去のGPPT 36単位以上を調査したところ, 400ml献血者群では, 200ml献血者群よりも有意に高率であり, この傾向は男性に顕著であった. 将来400ml献血をより推進する上で, また, GPTの検査そのものが従来の輸血後肝炎を予防するという, 意味よりも, 献血者の健康指標としてとらえられるであろうことを考えると, このようなGPT高値者の背景を知っておくことは重要なことと考えられる. 今回, 400ml献血者GPT36単位以上を示した例について, 肥満度やアルコール飲用との関連性を検討したので, その成績を報告する. 【対象および方法】昭和61年4月から平成2年3月までのGPT異常率を200mlと400ml献血者とに分けて集計. 平成元年7月からは, 400ml献血者に対して, 献血前日の飲酒や普段の飲酒習慣を質問, 更に, 肉眼的な体格(肥満, 筋肉質, 普通, やせ)観察に加えて献血者の肥満度を算出(ミノワ式)これらの項目とGPT値との関連性を検討した. 【成績】400ml献血者では, 200ml献血者に比べ各月とも異常率は高く, 最高の月で10.7%であった. 肥満度との関係を見ると, 肥満度30以上のGPT異常率は23%, 肥満度40以上になると異常率は約40%となり, 肥満度30以下のGPT異常率3%に比ベ, 有意の高値を示した. また, アルコール飲用との関連では, 連日飲酒する群とほとんど飲酒しない群との間に, GPT異常率の差はなかった. 【考案およびまとめ】400ml献血の対象は体格のいい人が多数を占める訳であるが, 肥満度30以上の献血者は, 採血課職員の肉眼的観察によっても肥満として分類されていた. GPT値が36単位以上となる率も肥満度が30以上と30未満では明らかに30以上で高く, 肥満度が50以上になると, 約半数はGPT値が36単位以上であった. これの臨床的意義はともかく, 血液センターが今後献血者の健康管理面に一層関わりを持つとすれば, 生化学的検査値の通知以外にも, 肥満度を加味した生活指導的な内容の情宣を考慮してもいいのではないかと考える.
ISSN:0546-1448