肺小細胞癌の治療経過中に認めた気管支Mucosal Bridgeの1例

Mucosal bridgeは, 消化管の炎症性疾患の経過においてみられることはしばしば報告されている. しかし, 気管支領域でのその報告は比較的少ない. 今回我々は, 肺小細胞癌の治療経過中に, 気管支内にmucosal bridgeを認めた症例を経験した. 症例は75歳, 男性. 平成9年8月より, 咳嗽, 喀痰, 体重減少があり受診した. 胸部X線では, 左肺門部に塊状陰影を認めた. 気管支鏡検査では左主気管支をほぼ閉塞する腫瘤があった. 生検組織の病理学的検査にて小細胞癌の診断を得た. 臨床病期はcT2NM0, IIIA期であった. CDDP+CPT-11による化学療法4コースと胸部放...

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Published in気管支学 Vol. 20; no. 7; p. 627
Main Authors 中里未央, 木下明敏, 福田浩敏, 木村正剛, 辻博治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.11.1998
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ISSN0287-2137

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Summary:Mucosal bridgeは, 消化管の炎症性疾患の経過においてみられることはしばしば報告されている. しかし, 気管支領域でのその報告は比較的少ない. 今回我々は, 肺小細胞癌の治療経過中に, 気管支内にmucosal bridgeを認めた症例を経験した. 症例は75歳, 男性. 平成9年8月より, 咳嗽, 喀痰, 体重減少があり受診した. 胸部X線では, 左肺門部に塊状陰影を認めた. 気管支鏡検査では左主気管支をほぼ閉塞する腫瘤があった. 生検組織の病理学的検査にて小細胞癌の診断を得た. 臨床病期はcT2NM0, IIIA期であった. CDDP+CPT-11による化学療法4コースと胸部放射線治療20Gy, 3コースを同時併用し, CRとなった. 治療経過中の気管支鏡検査で, 腫瘍は消失し, 左下幹入口部から末梢にかけてmucosal bridgeの出現を認めた. 若干の文献的考察を含めて報告する.
ISSN:0287-2137