合成リン脂質とウサギ脳由来リン脂質を用いたAPTT測定試薬の乖離例について
はじめに:今回われわれは, 合成リン脂質とウサギ脳由来リン脂質を用い, APTT測定試薬の基礎的検討を行い乖離例を認めたので報告する. 対象-方法:検討対象試薬は, トロンボチェックAPTT(Sysmex)従来法, トロンボチェックAPTT-SLA(Sysmex)合成リン脂質法. 測定機器は, Coagrex-800(Sysmex)を用い以下の項目を検討した. 結果:1)コアグトロールIx, IIxをそれぞれ20回連続測定したCVは, 0. 58~3. 09%の範囲であった. 2)コアグトロールIx, IIxを14日間連続測定したCVは, 1. 77~3. 20%の範囲であった. 3)ノボヘパ...
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Published in | Journal of Nippon Medical School Vol. 70; no. 6; p. 583 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
15.12.2003
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ISSN | 1345-4676 |
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Summary: | はじめに:今回われわれは, 合成リン脂質とウサギ脳由来リン脂質を用い, APTT測定試薬の基礎的検討を行い乖離例を認めたので報告する. 対象-方法:検討対象試薬は, トロンボチェックAPTT(Sysmex)従来法, トロンボチェックAPTT-SLA(Sysmex)合成リン脂質法. 測定機器は, Coagrex-800(Sysmex)を用い以下の項目を検討した. 結果:1)コアグトロールIx, IIxをそれぞれ20回連続測定したCVは, 0. 58~3. 09%の範囲であった. 2)コアグトロールIx, IIxを14日間連続測定したCVは, 1. 77~3. 20%の範囲であった. 3)ノボヘパリンを用いたヘパリン感受性試験は, 従来法と比較しAPTT-SLAが若干良好な感受性を示した. 4)6件のLupus anticoagulant(LA)陽性検体の測定値は, 従来法と比較しAPTT-SLAがほぼ良好な感受性を示すとおもわれた. 5)干渉チェック-Aプラスを用いた共存物質の影響は, 認められなかった. 6)患者検体98件を用い従来法を基準とした相関性はr=0. 916, y=1. 251x-5. 716であった. 7)患者検体98件の相関性において, 延長領域での乖離検体を認めたことから, 延長検体92件を用い従来法を基準とし求めた相関性はr=0. 847, y=1. 034x+0. 527で, 双方への乖離を認めることが明らかになった. 8)乖離検体の検索を行うため, 従来法を基準とし求めた相関性はn=591でr=0. 872, y=0. 780x+8. 212であり13例の乖離検体を認め, 基準値領域においても乖離を認めることが明らかになった. 考察:今回行った基礎的検討では, 精密性, 共存物質の影響とも良好な結果であり, ヘパリンやLAの感受性においては, 従来法と比較しAPTT-SLAがほぼ良好な感度を示すとおもわれた. また, 乖離とおもわれる検体の存在が明らかになったが, 13例においての明確な傾向を得るため, 今後も乖離検体の検索を行い乖離についての有意な傾向や, そのファクターを追求していくべきであると考える. |
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ISSN: | 1345-4676 |