全身温熱療法とNKT細胞活性化による癌免疫療法の併用による抗腫瘍効果の検討

【目的】近年, 海に生息するカイメンなどの動物の細胞膜に含まれる糖脂質のα-Galactosylceramide(α-Galcer)がNKT細胞を活性化し癌細胞に対する細胞障害活性を発揮することが報告されている. また, 癌の温熱療法は, その抗癌作用機序として, 温熱による殺細胞効果に加えて, マイルドな加温によるNK活性の増強や癌抗原性の増強が報告されている. 今回われわれは, α-Galcerと全身温熱療法との併用抗癌効果を動物実験モデルで検討した. 【方法】マウス大腸癌細胞株Colon26をBALB/cマウスの皮下に移植し, 皮下腫瘍モデルを作成した. 腫瘍移植3日目よりα-Galce...

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Published in日本ハイパーサーミア学会誌 Vol. 22; no. 2; pp. 108 - 109
Main Authors 服部武司, 古倉聡, 足立聡子, 奥田敏充, 中部奈美, 坂元直行, 半田修, 内藤裕二, 吉田憲正, 吉川敏一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ハイパーサーミア学会 01.06.2006
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ISSN0911-2529

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Summary:【目的】近年, 海に生息するカイメンなどの動物の細胞膜に含まれる糖脂質のα-Galactosylceramide(α-Galcer)がNKT細胞を活性化し癌細胞に対する細胞障害活性を発揮することが報告されている. また, 癌の温熱療法は, その抗癌作用機序として, 温熱による殺細胞効果に加えて, マイルドな加温によるNK活性の増強や癌抗原性の増強が報告されている. 今回われわれは, α-Galcerと全身温熱療法との併用抗癌効果を動物実験モデルで検討した. 【方法】マウス大腸癌細胞株Colon26をBALB/cマウスの皮下に移植し, 皮下腫瘍モデルを作成した. 腫瘍移植3日目よりα-Galcerの腹腔内投与, および41度, 30, 60分間の全身温熱療法を週2あるいは3回のペースで施行し, 抗腫瘍効果, 生存期間を検討した. また, 経過中の血中Interferon-γ(IFN-γ)などのサイトカインの変動も検討し, その抗癌メカニズムの解明を試みた. 【結果】(1)コントロール群に比し, 温熱療法単独で, 腫瘍の発育が抑制される傾向を認め, α-Galcerと全身温熱療法との併用により, 有意な抗腫瘍効果と生存率の延長を認めた. (2)α-Galcerの投与により, 血中のIFN-γが, 3時間後から有意に増加し, 24時間後には, 前値に復した. (3)全身温熱療法とα-Galcerの併用による血中のIFN-γの増加効果は認めなかった. 【結論】(1)全身温熱療法単独で, 癌治療に使える可能性が見られた. (2)α-Galcerと全身温熱療法との併用は, 動物実験レベルでは, 有意な抗癌治療効果を認めたが, そのメカニズムについては, 今後検討する必要がある.
ISSN:0911-2529