抗B血清色素タートラジンによる表・裏検査不一致の症例

試験管法による血液型検査において, タートラジンによる非特異反応と思われる表・裏不一致の症例を経験したので報告する. 症例:60歳男性. 自己免疫性溶血性貧血の疑いのため入院. 検査結果: <ABO式血液型検査> ・裏検査のO型血球陽性は抗I抗体によるものであった. ・表検査において, 他のLot番号の試薬を用いても同じ反応を示した. ・抗B血清と反応した凝集塊を3回洗浄すると(-)となった. また37℃では(-)となった. ・洗浄患者血球による表検査は抗A(-)抗B(-)となった. ・洗浄患者血球に患者血清(血漿)を加えた表検査は抗A(-)抗B(+)となった. <タートラジン溶液との反応>...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 46; no. 6; pp. 578 - 579
Main Authors 増田利恵, 栗田絵美, 平岡朝子, 谷廣ミサエ, 原田結花, 藤井輝久, 高田昇, 木村昭郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.12.2000
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ISSN0546-1448

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Summary:試験管法による血液型検査において, タートラジンによる非特異反応と思われる表・裏不一致の症例を経験したので報告する. 症例:60歳男性. 自己免疫性溶血性貧血の疑いのため入院. 検査結果: <ABO式血液型検査> ・裏検査のO型血球陽性は抗I抗体によるものであった. ・表検査において, 他のLot番号の試薬を用いても同じ反応を示した. ・抗B血清と反応した凝集塊を3回洗浄すると(-)となった. また37℃では(-)となった. ・洗浄患者血球による表検査は抗A(-)抗B(-)となった. ・洗浄患者血球に患者血清(血漿)を加えた表検査は抗A(-)抗B(+)となった. <タートラジン溶液との反応> 考察:本例は1973年Jonesらによって報告された症例と同様に, 患者血清(血漿)中に存在する物質が, タートラジンと非特異反応を起こすことにより, 赤血球が非特異的に凝集して表・裏検査の不一致を生じたものと思われる.
ISSN:0546-1448