消化器悪性腫瘍手術における希釈式自己血輸血の意義

目的:消化器悪性腫瘍手術においても自己血輸血の有用性が認識されつつあるが, 高齢, 貧血および術前貯血期間の不足等の問題からその普及は十分とはいえない. 当院では貯血のみでは血液準備量が不足する例を中心に希釈式自己血輸血を積極的に適用しており, その有用性につき検討した. 対象と方法:1998年1月から2000年5月までに自己血準備を行った消化器悪性腫瘍待機手術症例173例中, 希釈を行った症例は102例(希釈のみ28例, 貯血+希釈74例)であった. これらの症例の採血量, 同種血輸血回避率, 合併症等につき検討した. 結果:準備自己血量の平均は714mlで, このうち希釈のみの例で515m...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 46; no. 6; p. 573
Main Authors 長谷川公治, 浜田弘巳, 佐藤篤, 工藤岳秋, 岡田昌生, 高田譲二, 勝木良雄, 辻寧重, 太平整爾, 七戸康夫, 角田一真
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.12.2000
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ISSN0546-1448

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Summary:目的:消化器悪性腫瘍手術においても自己血輸血の有用性が認識されつつあるが, 高齢, 貧血および術前貯血期間の不足等の問題からその普及は十分とはいえない. 当院では貯血のみでは血液準備量が不足する例を中心に希釈式自己血輸血を積極的に適用しており, その有用性につき検討した. 対象と方法:1998年1月から2000年5月までに自己血準備を行った消化器悪性腫瘍待機手術症例173例中, 希釈を行った症例は102例(希釈のみ28例, 貯血+希釈74例)であった. これらの症例の採血量, 同種血輸血回避率, 合併症等につき検討した. 結果:準備自己血量の平均は714mlで, このうち希釈のみの例で515ml, 貯血+希釈例では貯血498ml/希釈510ml(計1,008ml)であった. 同種血輸血回避率は81.4%(希釈のみ85.7%, 貯血+希釈79.7%)であり, 希釈式血己血輸血に由来する合併症は経験されなかった. まとめ:消化器悪性腫瘍手術症例において希釈式自己血輸血は安全に施行可能であり, また高率に同種血輸血を回避することができる.
ISSN:0546-1448