生体部分肝移植術における輸血の状況について
目的:当院第1外科において1991年5月から1992年10月までに4例の生体部分肝移植術が行われた. この移植術に際しての輸血状況について報告する. 結果:対象4症例の基礎疾患は先天性胆道閉鎖症3例, アラジール症候群1例であり, 提供者はすべてが両親のいずれか一方であった. ABO式血液型不適合例が2例みられ, 術前, 術後血漿交換療法が行われた. 抗体価を×8以下に低下させて移植術が行われ, 術後抗体価が×32以上に上昇した場合に血漿交換療法が施行された. 提供者は肝切除術前に自己血採血を行い, 自己血1,200~1,400mlが確保された. 提供者の輸血は結果的にすべて自己血輸血でまかな...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 4; pp. 780 - 781 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.08.1993
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 目的:当院第1外科において1991年5月から1992年10月までに4例の生体部分肝移植術が行われた. この移植術に際しての輸血状況について報告する. 結果:対象4症例の基礎疾患は先天性胆道閉鎖症3例, アラジール症候群1例であり, 提供者はすべてが両親のいずれか一方であった. ABO式血液型不適合例が2例みられ, 術前, 術後血漿交換療法が行われた. 抗体価を×8以下に低下させて移植術が行われ, 術後抗体価が×32以上に上昇した場合に血漿交換療法が施行された. 提供者は肝切除術前に自己血採血を行い, 自己血1,200~1,400mlが確保された. 提供者の輸血は結果的にすべて自己血輸血でまかなわれた. 一方, 患児の術中, 術後輸血量は症例ごとに大きく変動し, 一般病棟へ退出時までに大量の血液製剤が使用されたが, 術前の赤血球製剤に対するC/T比は6.0, 3.8, 2.5, 2.2と移植術経験が進むにしたがって, C/T比は低下していった. |
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ISSN: | 0546-1448 |