(2)Open stent法を用いた弓部大動脈瘤に対する当院の体外循環
【はじめに】当院では2005年4月から弓部大動脈瘤に対して, 末梢吻合をステントグラフトで代用したopen stent法を取り入れたので, その手技及び成績を報告する. 【対象】2005年4月から2年間の弓部大動脈瘤(真性瘤および大動脈解離)で, 経カテーテル的なステントグラフト治療が適応でない弓部置換を必要とした症例6例を対象とした. 【手術方法】全麻後, 右大腿動脈からステントグラフト挿入時のガイドとなるガイドワイヤーを上行大動脈に留置. 開胸後, 人工血管の分枝と左鎖骨下動脈を吻合. 体外循環は右腋窩動脈送血で開始. 上行大動脈遮断後, 心停止とし, 大動脈基部と人工血管を縫合. 吻合後...
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Published in | 体外循環技術 Vol. 34; no. 4; p. 330 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本体外循環技術医学会
01.12.2007
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ISSN | 0912-2664 |
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Summary: | 【はじめに】当院では2005年4月から弓部大動脈瘤に対して, 末梢吻合をステントグラフトで代用したopen stent法を取り入れたので, その手技及び成績を報告する. 【対象】2005年4月から2年間の弓部大動脈瘤(真性瘤および大動脈解離)で, 経カテーテル的なステントグラフト治療が適応でない弓部置換を必要とした症例6例を対象とした. 【手術方法】全麻後, 右大腿動脈からステントグラフト挿入時のガイドとなるガイドワイヤーを上行大動脈に留置. 開胸後, 人工血管の分枝と左鎖骨下動脈を吻合. 体外循環は右腋窩動脈送血で開始. 上行大動脈遮断後, 心停止とし, 大動脈基部と人工血管を縫合. 吻合後は人工血管の分枝から送血開始. 脳保護液投与後, 左総頚動脈切断し分枝の1本と吻合後, 送血再開. 腕頭動脈遮断後, 分枝からは心臓・左総頚動脈・左鎖骨下動脈送血. 右腋窩動脈からは右総頚動脈のみの送血とし, 下半身循環停止とし, 弓部を切断. ガイドワイヤーに沿ってステントグラフトを弓部離断部から下行大動脈へ挿入. 断端形成した弓部離断部を人工血管と吻合. 左大腿動脈からair抜き送血を行い, 下半身血流再開. 腕頭動脈吻合後, 右腋窩動脈送血終了. 人工心肺離脱となる. 【結果】6例の内訳は全弓部置換5例(うち2例はAVRも施行), 遠位弓部置換1例で, いずれも病院死亡は無かった. 平均手術時間は457分, 体外循環時間は207分であった. 【結語】open stent法を用いた体外循環は, 送血ルートの変更が多いため, 術者との連携が重要と思われる. 末梢吻合が無いため, 出血に難渋することが少なく, 体外循環時間・手術時間が短縮できると思われる. |
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ISSN: | 0912-2664 |