新しい原理solid phase system (Capture-R)による不規則抗体スクリーニングについて
固相法による不規則抗体スクリーニングの試薬(Capture-R:lmmucor以下CR)について検出感度・特異性などの検討を行ったので報告する. 【検出原理】CRの検出試薬はU型ポリスチレンプレート底にO型赤血球膜を乾燥固定したものである. サンプル血清ないし血漿とインキュベートし, 洗浄後 IgG 抗体の感作指示赤血球を滴下して遠心判定を行う. 抗体(IgG)が陽性であれば指示赤血球はプレート底周辺に結合し, 陰性であれば底中心部に集合し陰性パターンを形成する. 【検討方法】(1)検出感度の比較:従来法(試験管法)とどの程度検出感度の差があるか, ポリクロ抗D血清を希釈してPEGクームス法と...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 2; p. 260 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.1998
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 固相法による不規則抗体スクリーニングの試薬(Capture-R:lmmucor以下CR)について検出感度・特異性などの検討を行ったので報告する. 【検出原理】CRの検出試薬はU型ポリスチレンプレート底にO型赤血球膜を乾燥固定したものである. サンプル血清ないし血漿とインキュベートし, 洗浄後 IgG 抗体の感作指示赤血球を滴下して遠心判定を行う. 抗体(IgG)が陽性であれば指示赤血球はプレート底周辺に結合し, 陰性であれば底中心部に集合し陰性パターンを形成する. 【検討方法】(1)検出感度の比較:従来法(試験管法)とどの程度検出感度の差があるか, ポリクロ抗D血清を希釈してPEGクームス法と検出感度を比較した. またクームス怯弱陽性例とCRの反応を検討した. (2)検出特異性を調べるために, クームス法陽性で Rh, Kidd など輸血の臨床上重要な抗体群とIr^a , JMHなどのHigh Titer Low Avidity 抗体群に対する反応性をPEGクームス法と比較した. (3)抗 HI, Lewis, P_1 , I, M, N の低温反応性抗体との反応影響:クームス法陰性で食塩液法強陽性サンプル. (とくにクームス相まで反応を持ち越す強い冷式抗体・寒冷凝集素)についてCRの反応を調べた. 【結果】(1)本法の検出感度はPEGクームス法とほぼ同程度であった. クームス法が弱陽性でもCRは強く結合し, 肉眼的に判定は非常に容易であった. 判定結果は冷蔵保存で2日間は可能であった. (2)輸血の臨床上重要な抗体群および High Titer Low Avidity 抗体群の検出結果は試験管法と一致した. (3)クームス法陰性で食塩液強陽性のサンプルはすべてCR陰性であった. クームス相まで反応を持ち越す強い冷式抗体・寒冷凝集素も本法は陰性となり, 冷式抗体が判定に影響をおよぼすことはなかった. 【考察】本法は検出感度が試験管法と同程度で客観判定が可能であった. プレートを用いた固相法のため, 操作・判定の自動化に対応が可能と思われる. また IgG 指示血球を使用するため, IgM 抗体との区別が可能であった. |
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ISSN: | 0546-1448 |