当院における輸血副作用の調査結果とprestorage leukocyte depletionの必要性について
重篤な輸血の副作用は輸血部に報告があるが, 発熱や蕁麻疹などの副作用は発生した現場で処理され, 輸血部には報告されないことも多い. こうした軽度の症状を含めて, 輸血副作用の頻度を明らかにするために平成10年8月1日~31日の期間に行ったすべての輸血について, 副作用調査を行った. 【結果】調査期間中輸血患者実数は103人, RC-MAP輸血が70人で169回・429単位, PC輸血が41人で161回・1,516単位, FFP輸血が23人で82回・533単位行われていた. 他に, 自己赤血球輸血16人・59単位, 自己FFP輸血10人・38単位, 院内血輸血1人・1単位が行われた. 調査票の回...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 2; p. 200 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.1999
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 重篤な輸血の副作用は輸血部に報告があるが, 発熱や蕁麻疹などの副作用は発生した現場で処理され, 輸血部には報告されないことも多い. こうした軽度の症状を含めて, 輸血副作用の頻度を明らかにするために平成10年8月1日~31日の期間に行ったすべての輸血について, 副作用調査を行った. 【結果】調査期間中輸血患者実数は103人, RC-MAP輸血が70人で169回・429単位, PC輸血が41人で161回・1,516単位, FFP輸血が23人で82回・533単位行われていた. 他に, 自己赤血球輸血16人・59単位, 自己FFP輸血10人・38単位, 院内血輸血1人・1単位が行われた. 調査票の回収率は100%, うち副作用報告は10人・15回で, すべて同種血輸血のRC-MAPないしはPCによるものであり, 蕁麻疹9回, その他の皮疹1回, 発熱3回, 発熱+悪心2回であった. うちRC-MAPが原因となったもの1人・3回(RC-MAP輸血全体の1.8%), PCが原因となったものは9人・12回(PC輸血全体の7.5%)であった. 放射線照射率はMAP98.8%, PC99.4%, 白血球除去フィルター使用率はMAP88.2%, PC93.8%, FFP9.8%であった. 輸血副作用防止のための輸血前ステロイドあるいは抗ヒスタミン剤の投与は, MAP輸血で14.8%, PC輸血で30.4%行われていた. 白血球除去フィルター使用の有無, あるいは輸血前薬剤投与の有無と, 輸血副作用発生との相関を, χ^2 テスト・Fisherの直接確率法で検定したが, 関連性は認められなかった. 【考察】輸血後の発熱, 蕁麻疹はPC輸血で7.5%に達した. PC輸血全体の30%で輸血前にステロイド剤等の予防投与が行われていたが, 副作用防止に効果があるとは判定されなかった. 発熱・蕁麻疹などの非溶血性副作用の原因として, 抗白血球抗体・血漿蛋白・白血球由来サイトカインなどが考えられている. FFP輸血では副作用がゼロであったことから, 血漿蛋白が副作用に直接関連する頻度は多くはないと推測される. PC製剤が白血球を含んだまま22℃で保存されることが副作用に関連している可能性が示唆され, 副作用の頻度の高さを考えると, prestorage leukocyte depletionの導入を早く考慮する必要があろう. |
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ISSN: | 0546-1448 |