セボフルレンと心筋代謝

<目的>雑種成犬を用いセボフルレンによる循環動態の変化, さらには心筋ミトコンドリア呼吸活性, エネルギー産生系の動態を比較検討した. <実験条件>非前投薬下にpentobarbital, pancuoronium静注, 挿管後Pa_CO2 35~40mmHgを指標にF_I _O2 1.0にて調節呼吸を行った. 大腿動静脈にカニュレーション, Swan-Ganzcatheterは右総頚静脈より挿入した. 各種モニタリング, 一般状態安定後実験を開始した. 実験群は以下の3群である. I群2.5%セボフルレン吸入群 II群5.0%セボフルレン吸入群 III群2.5%セボフ...

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Published in蘇生 Vol. 8; p. 77
Main Authors 安部雄大, 中谷哲也, 濱田良一, 渡辺省五, 石井脩夫, 横山秀男, 三宅有
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本蘇生学会 01.05.1990
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ISSN0288-4348

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Summary:<目的>雑種成犬を用いセボフルレンによる循環動態の変化, さらには心筋ミトコンドリア呼吸活性, エネルギー産生系の動態を比較検討した. <実験条件>非前投薬下にpentobarbital, pancuoronium静注, 挿管後Pa_CO2 35~40mmHgを指標にF_I _O2 1.0にて調節呼吸を行った. 大腿動静脈にカニュレーション, Swan-Ganzcatheterは右総頚静脈より挿入した. 各種モニタリング, 一般状態安定後実験を開始した. 実験群は以下の3群である. I群2.5%セボフルレン吸入群 II群5.0%セボフルレン吸入群 III群2.5%セボフルレン吸入+急速脱血群 <結果・考案>MAP, HR, COはセボフルレン吸入により制御された. 特にMAP, COは用量依存性に低下を示した. PAP, PCWPはセボフルレンによる変動はなくIII群でのみ低下を示した. 血液ガス所見はI, II群は変動は少なかったがIII群においては時間経過とともにアシドーシス傾向を示した. エネルギー代謝は軽度抑制された. 特にI, II群ではグルタメートが基質でRCRにおいてのみ低下を認めた. これはグルタメートとサクシネートのエネルギー準位差および酵素の局在性が関与していると思われる. III群ではすべてRCR, ADP/Oの低下を認め脱共役が生じており, 反応の場であるミトコンドリア内膜が虚血により燐脂質部位を中心に損傷を受けるのではなかろうかと推察される. 電子伝達系機能はIII群においてのみ低下傾向がみられた.
ISSN:0288-4348