90歳以上の超高齢者の大腿骨頸部骨折の手術経過について
【目的】高齢が社会にすすむにつれ大腿骨頸部骨折は増加の傾向にある. 今回90歳以上の超高齢者の大腿骨頸部骨折の手術例の経過を検討したので報告する. 【対象と方法】1981~1991年までの10年間に当科で手術を施行した90歳以上の大腿骨頸部骨折は17例で, 男性2例, 女性15例であった. これらにつき合併症, 手術法, 理学療法, 歩行状態について調査, 検討した. 【結果】骨折型は外側型13例, 内側型4例で, 受傷原因は全例転倒であり, 夜間時が多かった. 手術方法は内側型は全例人工骨頭置換術, 外側型はcompression hip screw 7例, Ender 5例, Jewett...
Saved in:
Published in | リハビリテーション医学 Vol. 29; no. 11; p. 872 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
01.11.1992
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0034-351X |
Cover
Summary: | 【目的】高齢が社会にすすむにつれ大腿骨頸部骨折は増加の傾向にある. 今回90歳以上の超高齢者の大腿骨頸部骨折の手術例の経過を検討したので報告する. 【対象と方法】1981~1991年までの10年間に当科で手術を施行した90歳以上の大腿骨頸部骨折は17例で, 男性2例, 女性15例であった. これらにつき合併症, 手術法, 理学療法, 歩行状態について調査, 検討した. 【結果】骨折型は外側型13例, 内側型4例で, 受傷原因は全例転倒であり, 夜間時が多かった. 手術方法は内側型は全例人工骨頭置換術, 外側型はcompression hip screw 7例, Ender 5例, Jewett 1例であった. 術前合併症は貧血, 低蛋白, 心疾患, 高血圧, 白内障等が多かった. 入院中に2例が死亡したが, 術前に複数の合併症をもっていた例であった. 術後の褥創は7例にみられた. 術後6カ月の時点での歩行状態は生存例15例中12例がT杖歩行可能であり, 2例が歩行器歩行, 1例が歩行不能の状態にあったが, これは術前の歩行状態と関連していた. 現在では生存例は10例で, その追跡期間は平均3.6年であるが, 8例はなんとか歩行可能な状態にある. 死亡した5例も平均生存期間は3.3年で, 90歳の平均余命が約3年であることを考えると, 手術による回復は十分満足すべきものであるといえる. 【結語】90歳以上の超高齢者の大腿骨頸部骨折の手術成績を検討したが, 多くの例で術前に近い歩行状態までの回復が可能であった. 手術成績は術前の合併症, 歩行状態との関連が多かった. <質疑応答> 今泉司(小牧市民病院):(1)術後比較的早期に歩行訓練に入っておられますが, すべて全荷重歩行ですか. (2)受傷後, 手術的治療を行うまでの期間はいかがですか. 中島育昌(山梨医大):90歳以上としてあるが, 治療法や成績からすると90歳以下の症例と同様に扱ってよいと考えてよいのでしょうか. |
---|---|
ISSN: | 0034-351X |