移植骨併用の人工骨頭置換術後のリハビリテーション
骨移植を用いての寛骨臼再建が必要であった変形性股関節症や慢性関節リウマチの患者で手術を行った症例を対象とし, 当科で行っている術後のリハビリテーションを報告, 問題点を検討したので報告する. 1982年より今日までに当科にて骨移植を併用しBipolar型人工骨頭置換術を行った慢性関節リウマチ(以下RA)53関節と臼蓋形成不全のある変形性股関節症(以下OA), 41関節を対象とした. OAの場合は, 寛骨臼欠損部に自家骨および同種骨をblockまたはbone chipの状態で移植し, blockの場合はcancellous screw 1~2本にて固定した. RAの場合は寛骨臼底にbone ch...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 28; no. 11; p. 959 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
01.11.1991
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ISSN | 0034-351X |
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Abstract | 骨移植を用いての寛骨臼再建が必要であった変形性股関節症や慢性関節リウマチの患者で手術を行った症例を対象とし, 当科で行っている術後のリハビリテーションを報告, 問題点を検討したので報告する. 1982年より今日までに当科にて骨移植を併用しBipolar型人工骨頭置換術を行った慢性関節リウマチ(以下RA)53関節と臼蓋形成不全のある変形性股関節症(以下OA), 41関節を対象とした. OAの場合は, 寛骨臼欠損部に自家骨および同種骨をblockまたはbone chipの状態で移植し, blockの場合はcancellous screw 1~2本にて固定した. RAの場合は寛骨臼底にbone chipおよび盃状に形成した骨頭を移植した. ベッドの縁での座位は疼痛がとれる術後2~3日目とし, 股関節を屈曲し過ぎないようにベッドに浅く腰掛けさせ, 床に両足をつけ, proprioceptive exerciseを行わせる. その際, transferの仕方, 特に股関節の内転と内旋を禁じる理由を患者によく説明しておく. ベッド上では術直後より1カ月間, 骨頭の脱臼を防ぐため股関節を外転位に保つ. 1~2カ月目にて両下肢の間に枕を挾み側臥位を許可する. ベッド上では患肢の挙上運動は禁止し股関節周囲筋, 大腿四頭筋の等尺性運動を主として行わせている. 歩行器での患肢をつけての歩行開始は, 術後3~7日で行う. 荷重の程度は, 一般に2週で10~20%, 4週で50%の部分荷重を許可する. 5~8週で松葉杖または一本杖をついて退院となる. 外来通院で杖をはずし, 全荷重が許可されるのは症例により異なるが, X線上移植骨が生着してからである. 一般に慢性関節リウマチでは4~8カ月, 変形性股関節症では1~3年である. <質疑応答> 久保俊一(京都府立医大):Migrationに対するリハビリテーション上の対策を今後どのように立てているか. 浅尾恒徳:RAの場合もほとんどセメントレスで, OA, RAとも全例人工骨頭です. 人工関節の方が臼蓋側のゆるみが多いと考える. migrationに関しては上方, 内方とも5~6 mm位なのでその分移植骨を厚目にして対処しています. 猪飼通夫(名古屋市身障者総合リハセンター):(1)移植骨骨癒合の判定について. (2)骨シンチでの判定は困難ではないですか. 浅尾恒徳:(1)最近2年は骨シンチにてup-takeをみている. またX線上は, 移植骨の境目がなくなり, 骨梁が通った時期を生着とし, 荷重を増加させているが強度を反映しないので, X線の観察が必要と考える. (2)シンチでは1年6カ月でup-takeさかんなものがあるので, 生着, 荷重等とどういう風に関係するか今後の課題である. (3)collapsを来した症例より考えるとそのような症例には負荷を長くする方がよいと考えています. |
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AbstractList | 骨移植を用いての寛骨臼再建が必要であった変形性股関節症や慢性関節リウマチの患者で手術を行った症例を対象とし, 当科で行っている術後のリハビリテーションを報告, 問題点を検討したので報告する. 1982年より今日までに当科にて骨移植を併用しBipolar型人工骨頭置換術を行った慢性関節リウマチ(以下RA)53関節と臼蓋形成不全のある変形性股関節症(以下OA), 41関節を対象とした. OAの場合は, 寛骨臼欠損部に自家骨および同種骨をblockまたはbone chipの状態で移植し, blockの場合はcancellous screw 1~2本にて固定した. RAの場合は寛骨臼底にbone chipおよび盃状に形成した骨頭を移植した. ベッドの縁での座位は疼痛がとれる術後2~3日目とし, 股関節を屈曲し過ぎないようにベッドに浅く腰掛けさせ, 床に両足をつけ, proprioceptive exerciseを行わせる. その際, transferの仕方, 特に股関節の内転と内旋を禁じる理由を患者によく説明しておく. ベッド上では術直後より1カ月間, 骨頭の脱臼を防ぐため股関節を外転位に保つ. 1~2カ月目にて両下肢の間に枕を挾み側臥位を許可する. ベッド上では患肢の挙上運動は禁止し股関節周囲筋, 大腿四頭筋の等尺性運動を主として行わせている. 歩行器での患肢をつけての歩行開始は, 術後3~7日で行う. 荷重の程度は, 一般に2週で10~20%, 4週で50%の部分荷重を許可する. 5~8週で松葉杖または一本杖をついて退院となる. 外来通院で杖をはずし, 全荷重が許可されるのは症例により異なるが, X線上移植骨が生着してからである. 一般に慢性関節リウマチでは4~8カ月, 変形性股関節症では1~3年である. <質疑応答> 久保俊一(京都府立医大):Migrationに対するリハビリテーション上の対策を今後どのように立てているか. 浅尾恒徳:RAの場合もほとんどセメントレスで, OA, RAとも全例人工骨頭です. 人工関節の方が臼蓋側のゆるみが多いと考える. migrationに関しては上方, 内方とも5~6 mm位なのでその分移植骨を厚目にして対処しています. 猪飼通夫(名古屋市身障者総合リハセンター):(1)移植骨骨癒合の判定について. (2)骨シンチでの判定は困難ではないですか. 浅尾恒徳:(1)最近2年は骨シンチにてup-takeをみている. またX線上は, 移植骨の境目がなくなり, 骨梁が通った時期を生着とし, 荷重を増加させているが強度を反映しないので, X線の観察が必要と考える. (2)シンチでは1年6カ月でup-takeさかんなものがあるので, 生着, 荷重等とどういう風に関係するか今後の課題である. (3)collapsを来した症例より考えるとそのような症例には負荷を長くする方がよいと考えています. |
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