当院の自己血貯血システムの現状

H6年6月から血液治療センターの一元管理で開始された自己血貯血システムの現状はどうであろうか. H9年の実績と医師へのアンケートの結果を併せ報告する. 結果:貯血実績はH6年58例, H7年143例, H8年161例, H9年204例であった. H9年204例の科別内訳は整形外科82(40.2%), 呼吸器外科55(27.0%), 泌尿器科27(13.2%), 産婦人科20(9.8%), 内科10(4.9%), 耳鼻科6(2.9%), 形成外科3(1.5%), 心臓血管外科1(0.5%)で, 総輸血件数の17%, 総輸血量の7.2%を占めた. 貯血量は200mlから最高1,200mlで400m...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 1; p. 38
Main Authors 渡辺裟予, 坪井浩美, 四木行永, 片岡節子, 大渕貴美子, 池田泰雅, 上田恭典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.02.1999
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ISSN0546-1448

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Summary:H6年6月から血液治療センターの一元管理で開始された自己血貯血システムの現状はどうであろうか. H9年の実績と医師へのアンケートの結果を併せ報告する. 結果:貯血実績はH6年58例, H7年143例, H8年161例, H9年204例であった. H9年204例の科別内訳は整形外科82(40.2%), 呼吸器外科55(27.0%), 泌尿器科27(13.2%), 産婦人科20(9.8%), 内科10(4.9%), 耳鼻科6(2.9%), 形成外科3(1.5%), 心臓血管外科1(0.5%)で, 総輸血件数の17%, 総輸血量の7.2%を占めた. 貯血量は200mlから最高1,200mlで400mlが73.6%, 800mlが20.4%であった. 年齢分布は骨髄ドナーの8歳から, 最高齢は人工関節交換術の93歳まで広く分布していた. 心臓血管外科の貯血第1例は冠動脈バイパス術の52歳男性で自己血小板182mlを採取した. 医師へのアンケートでは, 貯血のために手術までの時間が必要となる. 貯血立会時間の調整に困る. 廃棄血とした場合に保険上の評価がなされない. それ故, 適応症例の拡大が難しい. などの意見があった. まとめ:患者側から考えると自己血は副作用を回避できる手段であり, 主治医の立会いは治療についての更なる説明を受けることなどで, 安心につながる接点として好評である. 今後は自己血貯血に携わるお互いの負担が軽減され更に活用される様努力したい.
ISSN:0546-1448