頸髄損傷の難治褥瘡合併例への座位保持装置を用いた電動車椅子の試み
褥瘡は脊髄損傷慢性期合併症の1つであるが, 一度できたら治り難く座位での発生予防に時間ごとのプッシュアップとクッションの使用のみで難渋しているのが現状である. 今回私達は座位保持困難な頸髄損傷例に座面のみならず背面形状による圧力分散を狙い座位保持装置+局所に加えられる圧力軽減とその持続時間の短縮を目的にティルト可能な電動車椅子を作製し, 褥瘡完治および患者満足度100%を得ることができたので報告する. 「症例」52歳男性, 42歳時2階のベランダから転落受傷・OPLLありC2~7椎弓切除, 44歳時褥瘡治療のため両坐骨一部切除. Braden Scale 10点, 褥瘡はGrade 3, 坐骨...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 36; no. 10; pp. 680 - 681 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.10.1999
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 褥瘡は脊髄損傷慢性期合併症の1つであるが, 一度できたら治り難く座位での発生予防に時間ごとのプッシュアップとクッションの使用のみで難渋しているのが現状である. 今回私達は座位保持困難な頸髄損傷例に座面のみならず背面形状による圧力分散を狙い座位保持装置+局所に加えられる圧力軽減とその持続時間の短縮を目的にティルト可能な電動車椅子を作製し, 褥瘡完治および患者満足度100%を得ることができたので報告する. 「症例」52歳男性, 42歳時2階のベランダから転落受傷・OPLLありC2~7椎弓切除, 44歳時褥瘡治療のため両坐骨一部切除. Braden Scale 10点, 褥瘡はGrade 3, 坐骨部と恥骨下部・陰嚢背部に認め後二者完治せず. 四肢麻痺ASLA-Bにて残存機能は頭頸部運動・両肩関節運動・両肘関節屈曲可能. 「座位保持装置・電動車椅子」採型を兼ねたシミュレーションからモールドタイプの座位保持装置作製, 車椅子は電動フルリクライニング可能タイプでバックレスト120°~褥瘡部圧力ゼロ, 右肘にて車椅子とリクライニング電源スイッチon-off・左ジョイスティック1つでリクライニングと自走可能とした. 「考察」座位保持装置作製により良い姿勢と安定した座位保持が可能となり, 長時間の車椅子乗車可能・褥瘡治癒/再発防止目的のみならず呼吸状態・疲労度合いにより自由にリクライニング可能で心理的にも楽になり活動度も拡大することができたと思われる. 今後も個々の座位・機能・褥瘡のリスクから検討したいと思う. |
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ISSN: | 0034-351X |