術中心停止52例の検討
われわれの手術部では5年間で28, 504件の手術件数があった. うち緊急症例は6, 565件で23%を占める. 発生した術中心停止数は52例で発生率は0.18%である. 術前から心肺蘇生を受けていた例・開心術例を除くと, 31例となり心停止率は0.11%である. 52例中蘇生に成功したのは27例で51.9%であった. 性別では男性が約8割を占め女性に比し蘇生率も低い. 年齢別では10~29歳で蘇生率が低いが, これは, 大量出血例を多く含むためである. ASA分類と心停止の頻度の関係を見た. ASA 4°, 5°が全体の心停止の75%を占めた. ASA 1°, 2°, 3°の症例は開心術の1...
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Published in | 蘇生 Vol. 8; pp. 92 - 93 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本蘇生学会
01.05.1990
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ISSN | 0288-4348 |
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Summary: | われわれの手術部では5年間で28, 504件の手術件数があった. うち緊急症例は6, 565件で23%を占める. 発生した術中心停止数は52例で発生率は0.18%である. 術前から心肺蘇生を受けていた例・開心術例を除くと, 31例となり心停止率は0.11%である. 52例中蘇生に成功したのは27例で51.9%であった. 性別では男性が約8割を占め女性に比し蘇生率も低い. 年齢別では10~29歳で蘇生率が低いが, これは, 大量出血例を多く含むためである. ASA分類と心停止の頻度の関係を見た. ASA 4°, 5°が全体の心停止の75%を占めた. ASA 1°, 2°, 3°の症例は開心術の1例を除きすべて蘇生した. 蘇生率はASA 4°, 5°になるにしたがい低下した. ASA分類は心停止のRISKを認識するためにも大切である. 定時症例では13例の心停止があるがこれは0.06%と低い. 一方緊急症例では39例発生した. ASA 1.2E 3Eは蘇生率100%であった. 4E, 5Eでは37例を占め蘇生率も低い. 科別頻度としては救命救急センターからが最多だった. 原因別では大量出血・心原性shock例が大半を占めた. 出血の原因はその24例(75%)は多発外傷であった. これらは蘇生率も他に比し低かった. それ以外のものについては蘇生し得たが, その多くがASA 1°, 2°であることも考えると改善の余地があろう. 術者側の技術時間向上も重要である. われわれは年間約6, 000件近い件数(しかも緊急が23%を占める)をこなしているが, ASAのriskの高いものが多いこと, ローテーターが過半数を占めることなどを考えると術中心停止は少ないのではないかと考える. |
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ISSN: | 0288-4348 |