保管中に自己血バッグ内溶血を認めた症例
【目的】待機手術の術前貯血式自己血輸血において, 自己血の採血から患者に輸血するまで適切な保管管理することが輸血部門の重要な業務の一つとなっている. 今回, 採取した自己血の保管中に溶血を認めた症例を経験したので原因について検討した. 【症例】患者(I.Y)は61歳の女性で慢性関節リュウマチの為, 1998年10月2日に全人工股関節置換術を予定し, 術前の9月22日及び9月29日の二回に分けて, それぞれ200mlずつCPD加自己血を全血の状態で貯血した. 患者は血管細の為通常よりも採血にやや時間を要した. それぞれの血液バックは, 保管中静置の状態では上清に溶血を認めなかったが, 使用前の交...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 2; p. 270 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.1999
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 【目的】待機手術の術前貯血式自己血輸血において, 自己血の採血から患者に輸血するまで適切な保管管理することが輸血部門の重要な業務の一つとなっている. 今回, 採取した自己血の保管中に溶血を認めた症例を経験したので原因について検討した. 【症例】患者(I.Y)は61歳の女性で慢性関節リュウマチの為, 1998年10月2日に全人工股関節置換術を予定し, 術前の9月22日及び9月29日の二回に分けて, それぞれ200mlずつCPD加自己血を全血の状態で貯血した. 患者は血管細の為通常よりも採血にやや時間を要した. それぞれの血液バックは, 保管中静置の状態では上清に溶血を認めなかったが, 使用前の交差試験に用いた9月29日採血分のセグメントに凝固と溶血があり, 血液本体を確認したところ, パック内の血液にも溶血がみられた. 溶血が認められた血液バッグ内に凝固塊は検出されず, 保管温度の異常もなかった. また, 細菌学的検査では, 細菌は検出されなかった. 患者の原疾患治療に使用している薬剤には, 溶血原因と考えられるものはなかった. 患者の赤血球膜抵抗試験はやや抵抗減弱が認められた. |
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ISSN: | 0546-1448 |