血管原性下肢切断例の検討

「目的」下肢血行障害に対する切断術については術後の創治癒遷延, 再切断の問題があり切断レベルについて苦慮することが稀ではない. また, 比較的高齢者が多いことによる生命予後の不良, リハビリテーションの困難など多くの問題がある. 今回当科における血管原性下肢切断例について調査し検討を加えたので報告する. 「対象および方法」1991年~1997年の当科における血管原性下肢切断例は16例19肢で, 原疾患は慢性閉塞性動脈硬化症11肢, 糖尿病性壊疽8肢であった. 平均年齢は75歳であった. 切断部位は股離断1肢, 大腿切断9肢, 下腿切断5肢, サイム切断2肢, その他2肢であった. これらの症例...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 35; no. 12; pp. 953 - 954
Main Authors 山川晴吾, 市川徳和, 板寺英一, 宇都宮俊裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1998
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」下肢血行障害に対する切断術については術後の創治癒遷延, 再切断の問題があり切断レベルについて苦慮することが稀ではない. また, 比較的高齢者が多いことによる生命予後の不良, リハビリテーションの困難など多くの問題がある. 今回当科における血管原性下肢切断例について調査し検討を加えたので報告する. 「対象および方法」1991年~1997年の当科における血管原性下肢切断例は16例19肢で, 原疾患は慢性閉塞性動脈硬化症11肢, 糖尿病性壊疽8肢であった. 平均年齢は75歳であった. 切断部位は股離断1肢, 大腿切断9肢, 下腿切断5肢, サイム切断2肢, その他2肢であった. これらの症例について創治癒, 移動能力など予後について調査した. 「結果」一次的創治癒が得られたのは10肢, 二次的創治癒は5例, 再切断を要したものは4例であった. 移動能力は義足を装着できたものが3例, 車椅子移動が5例, 寝たきりが10例であった. 「考察」高齢者の下肢切断では高位切断が多くなる傾向があり, また何らかの合併症を有しているものがほとんどであることなどから術前と同レベルの移動能力の獲得はなかなか困難である.
ISSN:0034-351X