口蓋裂児の死腔
小児は成人と比較すると生理学的に未熟である. それ故, 気道の些細な処置でも呼吸動態に重大な影響を及ぼすことがある. 口蓋裂を有する患児は, 1~2歳時に口蓋形成術が行われるが, その口蓋形成術により生じた上気道の解剖学的形態の変化は呼吸動態に何らかの影響を及ぼすことが考えられるがそれに関する報告はない. そこで演者らは, 1~2歳時に口蓋形成術を施行した口蓋裂患者を対象としてそれらの患者の術後の呼吸動態について検討した. 対象とした患者は, 九州大学歯学部付属病院第二口腔外科にて, 口蓋形成術を受けた20名(口蓋裂群)と口蓋形成術以外の手術を受けた20名(対照群)であった. 方法は, 術前・...
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Published in | 小児口腔外科 Vol. 1; no. 1; pp. 77 - 78 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本小児口腔外科学会
01.05.1991
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ISSN | 0917-5261 |
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Summary: | 小児は成人と比較すると生理学的に未熟である. それ故, 気道の些細な処置でも呼吸動態に重大な影響を及ぼすことがある. 口蓋裂を有する患児は, 1~2歳時に口蓋形成術が行われるが, その口蓋形成術により生じた上気道の解剖学的形態の変化は呼吸動態に何らかの影響を及ぼすことが考えられるがそれに関する報告はない. そこで演者らは, 1~2歳時に口蓋形成術を施行した口蓋裂患者を対象としてそれらの患者の術後の呼吸動態について検討した. 対象とした患者は, 九州大学歯学部付属病院第二口腔外科にて, 口蓋形成術を受けた20名(口蓋裂群)と口蓋形成術以外の手術を受けた20名(対照群)であった. 方法は, 術前・術後及び回復室で, 一回換気量, 終末呼気二酸化炭素分圧, 動脈血中の酸素分圧及び二酸化炭素分圧, Base Excessを測定し, シャント率は, シャント方程式より, 死腔量はBohrの死腔方程式より算定し, それらをパラメーターとして比較検討した. その結果, 口蓋裂群では死腔量が術前25.2±4.7mlから術後12.3±9.1mlと有意に減少した. これに対して対照群では術前19.5±10.0mlから術後18.6±10.1mlと著明な変化はなかった. 口蓋裂群の死腔量の減少には生理学的死腔の減少も付加されることも考えられるので肺シャント, 動静脈酸素分圧較差についても検討した. |
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ISSN: | 0917-5261 |