慢性肉芽腫症における食細胞機能異常と感染症の特徴

宿主側因子の欠損の代表例として, 食細胞酸素依存性殺菌機構に遺伝的欠損のある慢性肉芽腫症(CGD)の生化学, 分子遺伝学と臨床について最近の知見を織りまぜて述べた. 1. NADPHオキシダーゼを構成するシトクロムb558の重鎖の遺伝子座はXp21.1にあり, その欠損は本邦ではCGDの大部分を占める. 軽鎖, サイトゾル因子(p47, p67)の遺伝子座はそれぞれ16q24, 7q11.23, 1q25にあり, その欠損は数%に過ぎない. 第3のサイトゾル因子p21rac1の欠損は発見されていない. 2. 感染症は外界接触部位とその隣接臓器に多い. 起因菌は黄色ブドウ球菌, グラム陰性桿菌,...

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Published in日本細菌学雑誌 Vol. 48; no. 3; p. 576
Main Authors 倉辻忠俊, 綱脇祥子, 立沢宰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本細菌学会 01.05.1993
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ISSN0021-4930

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Summary:宿主側因子の欠損の代表例として, 食細胞酸素依存性殺菌機構に遺伝的欠損のある慢性肉芽腫症(CGD)の生化学, 分子遺伝学と臨床について最近の知見を織りまぜて述べた. 1. NADPHオキシダーゼを構成するシトクロムb558の重鎖の遺伝子座はXp21.1にあり, その欠損は本邦ではCGDの大部分を占める. 軽鎖, サイトゾル因子(p47, p67)の遺伝子座はそれぞれ16q24, 7q11.23, 1q25にあり, その欠損は数%に過ぎない. 第3のサイトゾル因子p21rac1の欠損は発見されていない. 2. 感染症は外界接触部位とその隣接臓器に多い. 起因菌は黄色ブドウ球菌, グラム陰性桿菌, カンジダ, アスペルギルスなどが多く, 溶連菌, 肺炎球菌, インフルエンザ桿菌などカタラーゼ陰性, H2O2産生菌は稀である. 3. ガンマインターフェロンが重症感染の予防に効果をあげている. これはNADPHオキシダーゼ修復によるのではなく, 好中球殺菌たんぱく質の増加, CD64の発現とADCC活性増強による.
ISSN:0021-4930